小池滋『英国鉄道物語』

英国鉄道物語

英国鉄道物語

 10年来の積読を撃破。イギリスの鉄道史の入門書のつもりで買ったのに、全然入門書にならないな… 読み物としては楽しい。鉄道史の通史ではなく、鉄道と文学のかかわりについて詳述している。第一章は文学者・思想家が、鉄道をどう捉えたのかを描く。第二章はロンドンのターミナル駅の紹介、第三章はロンドンの地下鉄の紹介。第四章は推理小説の舞台としての鉄道について。イギリスの客車は縦に貫通する通路のない密閉式の客室のため、密室となり、密室殺人の場や人生語りの場になりやすいと言う指摘が興味深い。あと、イギリスでは列車のダイヤが日本ほど正確ではないので、時刻表ミステリーがつくりにくいとかw
 1979年に書かれた書物だけに、国鉄とか、ソ連とか、レニングラードとか、今は消えてしまった名前がちょろちょろ出てくるのが、懐かしい。