「写真が語る戦争:ノモンハン事件」『朝日新聞』08.5.11

兵卒から見たノモンハン事件。しかし、タコツボのなかで殲滅されていく無残さ。

 川畑さんは言う。「確かに日本兵は頑強で勇敢だった。でも、戦車に銃剣だけで突撃させられる。やらなければこちらがやられる。勇敢にならざるを得ないじゃないか。兵を死地に放り込んで絶体絶命の戦闘ばかりさせていたのが、日本軍のやり方だった」

 「関東軍の考えが正常であれば、我にとって一文の価値もない蒙古草原の争奪戦はしなくても済んだ」
 停戦後に第23師団参謀として残務処理にあたった扇廣氏は、86年に出版した著書「私評ノモンハン」(芙蓉書房出版)で述べた。



 この時期に関東軍が積極的に国境紛争を引き起こしたのは、日中戦争に伴う関東軍の重要性低下に原因があったのかもとか思った。この時期、対ソ連のための関東軍は相対的に重要性が低下しただろうし、うろ覚えだが兵力も引き抜かれていたようだ。そう考えると、自分たちの方に注意をひきつけるというのは、ありがちな行動だな。実際、それによって対ソ戦備が再び注目され、増強を受けたようだし。
 しかし、権限争いのために死んでいったとすれば、兵士は浮かばれないよなあ。しかも、そんなセクショナリズムな発想をする人間が、結局は陸軍の中枢に上り詰めたのだから、そりゃ日本軍が勝てるわけがないな。