恨と忘却「戦場でワルツを」

http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20100227 映画「戦場でワルツを」の紹介。監督自身の失われたレバノン戦争についての記憶を取り戻すために、戦友たちにインタビューするものらしい。そこから、レバノン戦争での忌避すべき行為が明らかになるという構成だそうな。

これは20世紀のユダヤ人の悲劇を総括した物語ともいえる。浄化という徹底したナチスの暴力にさらされ、そのもっとも忌むべきナチス的な暴力を自分たちが引き継いでいるという負の矛盾を包み隠さず描いている。

イスラエルと中東問題がやりきれないのは、まさにここにある。イスラエルが、いまや最もナチスに近い思想の国になっている。そもそも、シオニズムの思想のバックボーンが、ナチスの思想を生んだ土壌と同じところにあるのだからそうなるのも当然なのかもとも思える。19世紀から20世紀前半の「民族主義」の一番強烈な現われが、ナチスの「浄化」だが、国民国家の形成に伴う排除は他のヨーロッパでも多かれ少なかれあったのだろう。このあたりには詳しくないが。