記者の目:福島第1原発事故と産業優先=福岡賢正(西部報道部)

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110503ddm004070002000c.html そう、水俣病と同じ構図が見えるから、原発の現状維持論も含めて信用できない。ついでに言うと、後始末も水俣病とおんなじようなことになるんだろうなと、今から感じる。短期的な被害はともかくとして、疫学上、癌の増加などの影響が見られても、たぶんなかなか認めようとしないだろうな。現状でも、東京電力の態度は、チッソの態度と似たような感じだし。
 しかし、14年前にきっちりと指摘されていたとすれば、今回の津波による放射性物質放出は本当に人災としか言いようがないな。

 水俣病では、1956年に熊本大の研究班が水俣湾の魚介類に蓄積された重金属による中毒と指摘し、59年には厚生省(当時)の研究部会も魚介類の有機水銀が原因と報告した。しかし、国は腐った魚原因説などを発表した学者の見解を盾に公害と認めず、その後もチッソアセトアルデヒド工場からの廃液の垂れ流しが放置された。その結果、湾周辺の人々は汚染された魚を食べ続け、膨大な数の新しい患者が生まれ続けた。65年には新潟にあった昭和電工の同型工場の廃水による「第二水俣病」も見つかった。

 国は68年9月の政府見解で、この公害の原因を有機水銀と正式に認めたが、その4カ月前までに、技術革新によって国内の同型工場はすべて生産を終えていた。公害と認定されたのは、産業界にとって用済みとなった後だった。

 班目氏はあらゆる懸念を打ち消した上で「石橋氏は原子力学会では聞いたことがない人である」と素人扱いした。小佐古氏も「多量な放射能の外部放出は全く起こり得ない」とし、「論文掲載にあたって学者は、専門的でない項目には慎重になるのが普通である。石橋論文は、明らかに自らの専門外の事項についても論拠なく言及している」と批判したという。

 かく言う、二人の御用学者も地震学には素人だったわけだし、ものの見事にしっぺ返しを喰らったわけだが。