HONZとKousyoublogから。ずいぶん溜め込んでいたもんだ。
『チェンジング・ブルー』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ
べた褒め。
科学系のライターって、理系の教育を受けた上で、調査に金がかかりそうだよなあ。あと、売れなかったときのリスクが高そう。
その時代錯誤は戦略なのか? 『イスラム国 テロリストが国家を作るとき』 - HONZ
テロ・ファイナンスの専門家。
資金調達の面から見たイスラム国。高いレベルの金融技術を使い、「残虐さ」を強調するマーケティングで顧客を集めている。物事を動かすには、やはり組織が強いと。
しかしまあ、イスラム国のマーケティングは、ニッチ戦略だよなあ。先進国社会に受け入れられない。どこかが、本気で安全保障の脅威と感じたら、叩き潰されそうな感じも。コストとリスクの狭間で、無茶をやっている感が。
あと、安定した国家を形成するには、やはり「支持」を公的に調達する回路が必要だと思うが。
『ネアンデルタール人は私たちと交配した』「ズル」をしないで大逆転した男の一代記 - HONZ
ネアンデルタール人と現生人類の交配を、遺伝子分析から明らかにした研究者の回想記の解説。
旧石器時代に、大規模な戦争をやる余裕はないだろうな。では、なぜ、ネアンデルタール人が滅びたのかは、また気になる話だが。で、遺伝子からは、両者の共存と通婚の可能性が指摘される。
新しい学問分野を切り開いて行く姿をビビッドに示す本でもあると。
化石の中にあるDNAを抽出するのは非常に難しい。細心の注意を払っても、現在のDNAが混入する。ジュラシックパークの前後に、いい加減なDNA抽出が行なわれる中で、ベーポは、慎重に抽出を続けたと。愚直さが産んだ、大逆転。
『第二次世界大戦1939-45(上)』by 出口 治明 - HONZ
第2次世界大戦の通史。
『石油と日本』石油を持たない国の試行錯誤 - HONZ
明治以降の油田開発と資源外交の通史だそうだ。石炭の時代には、日本は「持たざる国」じゃなかったんだけどね。
海外での資源開発が民間主導で行なわれ、政府の資源外交はそれを十分に支援できなかった。インドネシアに送り込まれた石油産業関係者が、後に日本の石油産業の中核になるとか。
石井正紀『石油技術者たちの太平洋戦争』は、ドンピシャで戦時中、南洋に送り込まれた「おっさん部隊」の話だな。
『世界を破綻させた経済学者たち 許されざる七つの大罪』 - HONZ
クリントン時代の「金融自由主義」は、そういう演出されたものだったんだな。リスクの高い金融商品市場の透明化は、あらかじめ禁止されていた。そして、それを著名な経済学者が「保証」していたと。当時、日本を「クローニーキャピタリズム」と非難していたが、実はアメリカの方がよっぽどクローニーだったと。
市場は制度的な仮構物なのに、それを「神」みたいに扱ったことが問題なんだよなあ。で、それを政治的に押し付けていった。自らの政治性に無自覚なのが、経済学の問題だと思う。つーか、アメリカやイギリスの「合理主義」はある種の宗教だよな。だから、ノーベル経済学賞は、英米系が主体になる。
国により時により異なる「汚い理論」の構築に挑むという社会理論の王道
『文明の誕生 メソポタミア、ローマ、そして日本へ』 - HONZ
文明の「祖形」たるメソポタミアの姿から、人間の社会を見直すか。メソポタミアで蓄積された技術・制度が、現在にも濃厚に影響を与えている姿。
『地球の履歴書』本物の知がここにある - HONZ
メモ。おもしろいらしい。
『日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る』中の人が語る新規プロジェクトの実録 - HONZ
新規プロジェクト立ち上げのモデルとして役立つという観点からの紹介。まったく畑違いの分野に出るには、やはり推進者がいると。
『ぼくらの哀しき超兵器』夢と気合と、ほんの少しの科学をまぶして - HONZ
負けが込んでくると、アレな発想の兵器に頼ろうとするか。
必死に考えると、逆に、外野から見て何考えてるの的な物が出てくると。まあ、その死屍累々の中から、社会を変革するようなアイデアも出てきているわけだけど。
『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』 - HONZ
いつも思うのだが、「平均寿命」って本当にわかりにくい概念だよな。成人後の、平均余命も同時に表示しないと、社会の状況を想像しにくい。
人口が増えるつど、その上限に当って、一気に大量死を引き起こすのが今までの歴史だからなあ。そして、社会的分業が極限まで強化された現在は、そういう社会的混乱に非常に脆弱になっているのが。
『国家を喰らう官僚たち アメリカを乗っ取る新支配階級』 - HONZ
まあ、アメリカの「保守派」らしいお話ですな。軍事・治安方面での肥大化は指摘できるかもしれないが、そっちには絡んでいるだろうに。
むしろ、「自由」がアメリカを蝕んでいると思うが。極端な貧富の格差とか、発展途上国なみの乳幼児死亡率とか。「暴政の自由」が、アメリカの「自由」の本質と化しているのだが。
近代国民国家に、巨大な官僚制は不可避だろう。
『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる - HONZ
プロパガンダと、芸能や娯楽の親和性。人を惹き付けるのに、娯楽は格好の入り口。
例の「文化芸術懇話会」に危険性を感じるか。萌えミリは、まだ、なんらかの政治勢力が入り込んでいる感じはしないかな。
昭和五年のスラム街もらい子大量殺人事件「岩の坂事件」 | Kousyoublog
戦前には、貧困な家庭では嬰児を養子に出し、養子に出された先で嬰児を殺す事例がたくさんあったと。
本当に、松方デフレは最悪だな。そして、一貫した弱者切り捨て政策。戦前の政権の最悪ぶりが。戦中から戦後に続く、棄民政策。さらに、バブル崩壊後の福祉削減。基本線は一貫しているように思うが。
「殴り合う貴族たち」繁田 信一 著 | Kousyoublog
文庫で読んだけど、どこやったかなあ。
宮廷文学の世界からは、注意深く排除されていたけど、平安時代は自力救済の時代。有力貴族の従者団という軍事力で、抗争は頻繁にあったという話。しかしまあ、上級貴族の不品行の酷さといったら。
「憲法で読むアメリカ史」阿川 尚之 著 | Kousyoublog
一般向けに書かれた、アメリカの憲法と司法の通史。司法の動向が、政治的に強い影響力を持つアメリカ社会を理解するために重要と。
アメリカの司法の強さは、個人の力だったのか。ティーパーティー運動が、憲法の原意を重視する憲法保守とか。
「武具の日本史 正倉院遺品から洋式火器まで」近藤 好和 著 | Kousyoublog
古代から近世末に至る、武具の通史の紹介。基本ラインは、同じ著者の『騎兵と歩兵の中世史』と一緒かな。古代と近世が付け加えられているけど。
そういえば、最近は、また歩兵用のボディアーマーは重装化が進んでいるよなあ。
「居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化」飯野 亮一 著 | Kousyoublog
まだ、公私の区別とか、仕事の時間と娯楽の時間が分離していない時代って感じだな。
江戸の居酒屋の数は、現在と変わらないレベルだったと。江戸以外の場所はどうだったんだろうな。みんな呑みまくっている社会か…
「幕末外交と開国」加藤 祐三 著 | Kousyoublog
明治政府のプロパガンダを廃して、幕末の外交過程を検証した本の紹介。
だいたい、明治政府の方が一貫性ないんだよな。尊皇攘夷とか言いながら、政権握るとコロッと変わる。明治20年代あたりまでは、それでも攘夷の気風があって、ヨーロッパ人は気軽に日本国内に入り込めなかったと言うが。
事前から、海軍の欠如による劣勢の自覚と穏健策の行動。アヘン戦争に伴うイギリスへの警戒感と、友好的な関係に終始したアメリカへの親近感。アメリカ側の事情。東アジアに補給基地がほしかったアメリカ。だからこそ、アメリカは日本との開戦は避けたかった。
お互いに駆け引きを行なった、ダイナミズムか。
条約の条文がたくさんあって、日米で理解に齟齬があったってのが興味深い。そりゃ、漢文・日本語・オランダ語・英語の条約文があったら、混乱するわ。どっかで、この時期のコミュニケーションは、古オランダ語を介して行なわれていたというから、伝言ゲームになりそうだな。
こういう最近の成果を踏まえると、テレビによく出てくる幕末の尊皇攘夷派は、幕末の志士(笑)としか表現できなくなってくるな。
「江戸の文人サロン―知識人と芸術家たち」揖斐 高 著 | Kousyoublog
途中まで読んで、そのままになっているなあ。
生活を「風雅」の理念で美化することを願う人々。その集まりが、江戸時代の文人サロンだったと。そのなかで、江戸時代の「知」が蓄積された。やっぱり、炎上してたのかw
あと、握手会的なもの。
「排泄物と文明: フンコロガシから有機農業、香水の発明、パンデミックまで」デイビッド・ウォルトナー=テーブズ著 | Kousyoublog
人が定住・集住する以上は、排泄物の問題は最重要課題の一つなんだよな。
大量に生産される排泄物を、どう再利用するか。そういえば、下水汚泥から金を製錬なんて話もあるしな。最近の人間や家畜の排泄物は、大量の薬品を含んでいるだけに、普通にリサイクルは難しそうだけど…
個人的に不思議なのは、近世のフランスがあんなに汚くなったこと。他の都市では、そこまで酷くなかったようだし、どうなっているんだろう。
「セルデンの中国地図 消えた古地図400年の謎を解く」ティモシー・ブルック 著 | Kousyoublog
おもしろそう。東シナ海域に進出したヨーロッパ人と、台湾を拠点とした中国系商人集団、そして中国から飛び出して行く中国人たち。
「オカルトの帝国―1970年代の日本を読む」一柳 廣孝 編著 | Kousyoublog
公害病や放射能など、「見えないもの」に対する恐怖が、高度成長期のオカルト復権に重要な役割を果たした。「伝統的」文化の再評価。天皇主義オカルティズムから平和主義オカルティズムへの変化。まあ、どっちもお題目として使いやすかったのは確かだろうな。
そのオカルトが、テレビメディアを通じて拡散される。松下幸之助と阿含宗の教祖の主張の類似。大衆文化への拡散。そういえば、学研の雑誌は、そういうオカルト系の話多かったな。
「世界を変えた火薬の歴史」クライヴ・ポンティング 著 | Kousyoublog
どっかで聞いた名前と思ったら、『緑の世界史』の人か。
13-14世紀あたりに、中国で使われた火薬兵器って、どの程度機能したのかね。15世紀あたりに世界に拡散。ヨーロッパで重要なのは顆粒化で、それによって実用性が上昇。まあ、近世の大帝国ってのは、どこも「火薬帝国」と言われたりするが。
「霹靂砲」は竹や紙の外殻を内側の火薬の爆発力で粉砕する最初期の爆弾である。殺傷能力はほぼ無かったが、敵の混乱を誘うのには充分だった。
花火だな…