文化的に貧しいこの日本で、敢え無く1億4000万円の昆虫標本が焼け落ちた [ EP: 科学に佇む心と身体 ]

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 最近はゲノム研究が主流で、こういう地道な分類学的研究って衰退しつつあるんだよね。確かに、顕微鏡をのぞいて、地道に記載していく作業は地味なんだけど、基本として大事なんだけどね… あと、この分野では、なかなかアマチュアの力が強いのだが、そういう個人が集めたコレクションをどう保存管理するかって問題も提起しているな。海外ではどうなっているのだろうか。
 最近は旧帝大クラスの大きな大学に博物館が設置されて、標本の管理をするようになって、以前よりは状況は改善されたといえる。以前は、採集された標本類が管理されず処分されたり、ダメになったりしていたし、現在もその問題は完全には解決されていないと思うが。世界レベルの大コレクションが研究者の死後、海外に流出するなんてのはいくつも例があるらしい。
 つーか、引用されている『昆虫標本と蔵書を外国の大学に寄贈 定年前に私の「宝物」の安住の地を探す』って文章が掲載されたのが2009年で、現在もまるっきり解決されていないのな。博物館も整理の人員が足りないから、大規模なコレクションほど受け入れに躊躇するんだろうな。たいがい一分野一人が基本だろうし。大規模コレクションを持っている博物館もあるにはあるけど(科博とか)、ああいうところは自分で集めてくるから、すでに出来上がっているコレクションは受け入れたくないかもしれないな。


 生物学の標本ってのは、「帝国」の力の源泉の一つなんだよね。そういう生物情報から、ヨーロッパの主要国は利益を得てきた。プランテーションとか。あるいは、各種の生物資源から有用な成分や資源を抽出するための、基礎データとして、各国には大規模なコレクションが存在する。これらは世界の「ルール」を作る資料としても利用される。
 そう考えると、日本が他人のルールで不利な戦いを強いられる状況の一環として見ることもできるだろう。つーか、日本の研究者が集めた標本が、普通に海外に寄贈されている状況ってのは、本当に大損失なんだが…


貴重な新種含む昆虫標本6万点焼失…長野