「狙われる子どもたち 上中下」『熊日新聞』11/8/6-8

 熊日で、今回のシンポジウムに協賛して、こんな連載をやっていた。しかしまあ、呆れるくらい、いい加減。大本営発表を引きうつしただけだな。


「狙われる子どもたち 上:ネット流出 買春、性犯罪・・・“悪の連鎖”も」

 インターネットを中心に、児童ポルノの広がりが国際的に社会問題となっている。今年1-6月、全国で摘発された児童ポルノ事件は649件。熊本でも、過去最多だった昨年を上回る8件、10人が摘発された。10日には、県ユニセフ協会が行政や教委、各種機関など約80団体に呼び掛けてつくった実行委員会主催で、児童ポルノの根絶をテーマにした「子どもの命と権利を守るシンポジウム」(日本ユニセフ協会熊日共催)が熊本市の県立劇場で開かれる。子どもたちをいかに守るべきか−。現状と対策を熊本から探った。


 「オリ画を撮って、自慢したかった」。小学1年の女児の裸の画像を関東地方の男にパソコンで送ったとして、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで県警に逮捕された八代市の男(32)は、捜査員にこう説明したという。
 オリ画とは、自分しか持たない「オリジナル画像」の略。送った相手は、男がインターネットのサイトで知り合った、自分と同じく女児に性的な興味を持つ“仲間”だ。
 「出回っていない画像を投稿することでサイトが盛り上がる。過激であるほど、仲間の称賛を受ける」。男は無理やり女児の写真を撮り、体を触ったとして、強制わいせつの罪にも問われている。
 児童ポルノとは、18歳未満の少女の裸や性行為を写した画像や動画などを指す。「押収した画像は、性的虐待に近いものもある。大人の身勝手過ぎる欲望のために、子どもたちが狙われている」。捜査員はため息をつく。
 県警が昨年、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で摘発したのは26件。前年のおよそ5倍に増えた。中には、父親が自分の娘を撮影したケースもあった。
 子どもたちに近付く手口も巧妙化している。以前のように「出会い系」ではなく、一般のネットゲームのサイトなどで、メールアドレスを入手するケースが目立つという。
 サイトで交流するうちに、「お金をあげるから」などと画像の提供を要求される。一度応じてしまうと、「暴力団だ」 「家族にばらすぞ」と脅され、要求をエスカレートさせることが少なくない。
 「ネットに流出した女児の画像をみて、児童買春や性犯罪に走る者もいる」と県警少年課。一つの事件が新たな事件を生み、断ち難い“悪の連鎖”をつくり出すのが、児童ポルノ事件の最も恐ろしい点でもある。
 昨年、県内の被害者は高校生11人、中学生5人、小学生1人。「知り合いに画像を送られ、パニックになった子もいる。長期にわたり支援が必要なケースもある」と、臨床心理士として被害児童をサポートする県警少年課の布田明子さん(39)。
 幼児期の被害者は、自分がどんな目に遭ったのか理解できず、「大人になって、精神的ショックを受ける可能性もある。周囲がしっかりサポートする必要がある」という。いったん、ネットに流出した画像を回収することや、消すことは極めて難しい。「不安がずっと続くこともある」。布田さんは、児童の心情を代弁する。(高橋俊啓)




「狙われる子どもたち 中:共有ソフト 進む潜在化取り締まり強化」

 「無修正」「8歳」―。6月、県警の捜査員がファイル共有ソフトのサイバーパトロール中に児童ポルノを疑わせる題名のファイルを発見した。中身は、女児がわいせつ行為を受けている動画。すぐに捜査し、県警は7月中旬、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列目的所持)容疑で広島市の男(24)を逮捕した。
 日本でも大手プロバイダーが4月から、児童ポルノサイトヘのアクセスを強制的に遮断する「ブロッキング」を開始した。このため、犯行の舞台はインターネットサイトから共有ソフトなどへと潜在化しつつある。
 「共有ソフト」は個人のパソコン同士でデータを送受信できるため、ブロッキングを免れられる。熊本をはじめ、全国の警察は取り締まりを強化。警察庁によると、1-6月に摘発した全国の児童ポルノ事件のうち、共有ソフトを利用したものが前年同期比127・4%増の141件と急増している。
 警察庁は2009年、児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムを策定。サイバーパトロールや愛好家グループの摘発を強化する方針を打ち出した。1-6月に摘発した全国の児童ポルノ事件は前年同期比9・1%増の649件で、統計を取り始めた2000年以降で最多となった。
 多くの事件で端緒になるのが、サイバーパトロ−ル。捜査員らは、女子中学生を表す「JC」など隠語も含めて児童ポルノにつながる言葉をネット上や共有ソフト内で検索、一つ一つチェックしていく。パトロールは、通常の勤務時間外にも及ぶ。深夜や休日に利用する愛好者は多く、すぐにデータを消す場合もあるためだ。発見後はプロバイダーの協力などを得ながら、発信源をたどっていく。
 ただ、「個人メールでのやりとりやネットカフェを利用するなど、日に日に巧妙化し、捜査は簡単ではない」と県警少年課。
 一方、被害の入り口になりやすいのが携帯電話。最近は、ゲームなどができる交流サイトを介して被害に遭うケースが多いという。
 県警少年課は、有害サイトヘのアクセスを制限する「フィルタリング」の徹底や、子どもの携帯電話の利用に注意するよう、保護者に呼び掛ける。だが、交流サイトはフィルタリングの対象外であるケースも多く、監視の目は届きにくいのが実情だ。
 児童ポルノ事件で児童の年齢を鑑定している九州大の池田典昭教授(法医学)は「単に画像を見るところから性癖はエスカレートする。児童ポルノ防止のためには、法規制や取り締まりの強化が欠かせない」と指摘する。(内田裕之)




「狙われる子どもたち 下:規制強化 地方先行 単純所持にも罰則」

 「小さな女の子に興味があった。触ってみたかった」
 3月3日夜、熊本市のスーパーのトイレで3歳の女児を殺害し、水路に遺棄したとして、殺人と死体遺棄の疑いで逮捕された元大学生の男(20)=同市、鑑定留置中=は、県警にこう供述した。
 県警は、男の携帯電話に保存された別の少女のわいせつな画像やイラストを発見、自宅からはインターネットの専用サイトで購入したとみられる少女を描いたわいせつな漫画を複数押収した。「こんな写真や漫画が新たな犯罪を誘発するんだ」と捜査員は憤る。
 1999年に施行された児童買春・ポルノ禁止法では、児童ポルノを提供目的で所持することは禁じられているが、所持すること自体は違法ではない。だが単純所持が禁止されていないのは、G8先進国の中で、日本とロシアだけだ。
 国会でも「単純所持」について何らかの形で規制しようとの動きが出てきた中、国より地方が規制へ先行する形で動いている。奈良県では05年、13歳未満のポルノ所持に罰則を設けた条例を制定。京都府は本年度、「児童ポルノは児童の性的虐待の記録である」として、所持することを禁止し、府が廃棄命令を出すことができる条例を制定する方針を打ち出した。
 東京都は昨年、漫画やアニメなどで18歳未満を対象にする登場人物の性描写を規制対象にする条例案を都議会に提出した。だが、「自由な創作活動が制限されかねない」と漫画家や出版業界は猛反発。結局、「作品の芸術性、社会性などの趣旨をくみ取り、慎重に運用する」との付帯決議付きで可決した。
 児童ポルノの規制に反対する学識者らの中には「現状は定義があいまいで、拡大解釈して適用される恐れがある」との指摘もある。東京都の山口貴士弁護士は「捜査権の乱用や、冤罪のリスクを甘受してまでも、単純所持を処罰するだけの立法事実は存在せず、現行法による対応で十分だ」と主張する。
 一方、子どもの防犯対策に詳しい危機管理教育研究所(横浜市)の国崎信江代表は「アニメや漫画も含め、規制は絶対に必要」との立場だ。「幼い子どもが男性に触られ喜ぶなどと、誤ったストーリーで刺激し、犯罪を増やしているのは間違いない」と言い切る。
 児童ポルノがネット上にあふれる現実。狙われる子どもたちをどう守ればいいのか。国崎さんは「例えば日本では海岸の車の脇で幼児を無防備に着替えさせる人も多いが、盗撮されるかもしれない。児童ポルノの危険性を認識し、保護者、子どもたちが犯罪に巻き込まれないよう意識を変えていくことが重要だ」と強調する。(岩下勉)
 ※児童ポルノの根絶をテーマにした「子どもの命と権利を守るシンポジウム」は10日午後1時半から、熊本市の県立劇場で。入場無料。




 第一回目の連載の事例でもそうだが、メディアが犯罪を促進するというより、コミュニティが犯罪を促進すると考えるべきだと思う。そういう点では、その手の性癖の人間が集まるコミュニティーを監視するのは有効な対策なのだろうな。リンチ殺人事件なんかでもそうだけど、仲間内で煽りあって、エスカレートするというのはよくあるパターンだな。
 しかし、コメントしているのが池田典昭、国崎信江とコメンテーターなのがマッチポンプで笑える。とくに国崎のコメントが酷い。
 「ネットに流出した女児の画像をみて、児童買春や性犯罪に走る者もいる」とか、「『こんな写真や漫画が新たな犯罪を誘発するんだ』と捜査員は憤る」とか、あからさまな誘導だな。あと、「児童ポルノ犯罪の急増」なんかも、あからさまな誘導。