『貨物をゆく』

 物流関連を扱ったムック本。先月あたりから、目をつけてはいたのだが、やっと予算がついて購入。写真もたくさんあって、楽しめる。貨物輸送・物流に関連することが、さまざまな切り口で取り上げられるため、勉強になる。物流の歴史の部分は微妙にあやしい感じがするけど…
 全体は大よそ5部に分かれている。最初が東日本大震災の被災地への物資輸送の話。続いて、各種輸送機関の貨物ターミナルを取り上げている。貨物駅・コンテナターミナル・航空輸送・トラックターミナル。三番目は個別の品目ごとの輸送。新幹線の陸送、ガソリン、美術品、生鮮食品、イベント機材、宅配便、現金、戦車、引っ越し荷物、変圧器、天然ガス、それぞれ独特でおもしろい。四番目が物流の歴史。最後が最後が小ネタいろいろ。なかなか入り込めないところに入り込んで取材しているために、いろいろ勉強になる。
 東京港大井埠頭の郵船のコンテナターミナルである6・7号バースに置けるコンテナの量が1万4000TEU程度と意外に少ないのに驚く。ガンガンまわしていっているんだろうけど、「エマ・マースク」のような最大級のコンテナ船が積んでいるコンテナを全部下ろすと、それだけでほぼ満杯なんだよな。なんか不具合があったら、あっという間にパンクしそうな感じだ。
 あとは特定分野の輸送の話も興味深かった。美術品輸送やイベント機材輸送、変圧器などの重量物の輸送の項が特に。美術品の輸送というと、日通が有名だが、本書では谷中田美術という会社が紹介されている。梱包が一番重要とか、トラック一台で数億円の評価額のものを運ぶとか… イベント機材の輸送を手掛けるアーニーグローバルリンク社の話もおもしろい。コンボイがすげえ。あと、巨大な変圧器を輸送するシーンのビジュアルが、そのまま列車砲なのが笑った。ドーラみたいな化け物はともかくとして、アンツィオ・アニーことK5やら、20-30センチ代の砲なら、500トン以内に収まるな。
 最後の小ネタもおもしろい。物流博物館や貨物鉄道博物館秋葉原の過去、輸送関係の模型など。ターレーのプラモが出ているのは掴んでいたが。Nゲージのコンテナかあ。一個2000円はちょっときつい感じが。