阿部謹也『中世を旅する人びと:ヨーロッパ庶民生活点描』

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描

 中世ヨーロッパの人々の生活文化を描いたエッセー集といった感じの書物。初版?をブックオフで100円で拾った。なんというか、中世と言っても一様ではないものを、ざっくりまとめてしまっているのが欠点かなと。民俗方面からのアプローチはおもしろいけど。こまごまとした信仰の話がおもしろい。特にパンを巡る信仰。日本の「初穂」と似たような概念があるのが興味深い。
 あと、ラストの『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』の一部を翻訳解説しているあたりがおもしろい。異文化の古い時代の滑稽話って、ちゃんと解説してもらわないとさっぱり分からないところがある。まして、古語でのごろ合わせとか、分かりようがない。そういうごろ合わせや当時の社会情勢をがっつり解説しているおかげで、何が面白かったのかを、知ることができる。しかし、中世の書物って、いろいろな人が好き勝手に書きくわえている感じだな。