「熊本市長、花畑再開発断念を表明:「桜町と一体的空間に」」『熊日新聞』2012/11/28

 幸山政史熊本市長は27日、中央区花畑地区の再開発計画について、同市などが進めていた法定再開発による複合ビル建設の断念を正式表明した。代わりに市単独で多目的広場(2900平方メートル)を整備し、桜町再開発地区との「一体的な都市空間形成」(市長)を目指す。
 同日あった市議会全員協議会で説明した。市によると、既に他の2地権者の同意を得ており、市を含め地権者らで構成する「花畑地区開発協議会」は解散する。来年度当初予算に旧産業文化会館の解体費と隣接ビル2棟の取得費を計上する考え。
 市が示した桜町・花畑整備の「新たな方向性」は。(1)公共施設整備は桜町地区に集中(2)花畑地区は桜町とアーケード街をつなぐ結節空間を重視し広場化(3)産文のホール機能は、桜町の新施設と既存施設で分担(4)地区全体をつなぐ「シンボルプロムナード」の整備。
 議会説明後に会見した市長は「再開発が実現せず、街のにぎわいや景観上好ましくない状況が続いたことには一定の責任を感じている」としつつも、「現時点での最善の策」と理解を求めた。
 決断の時期については「(桜町の再開発計画が完成目標とする)2018年を考えたときに、花畑を含め一帯の整備を前進させる必要がある」と説明。NHKが花畑地区北側に単独進出を決めたことも「方向性決定の後押しになった」とした。
 花畑地区再開発をめぐっては、市が民間地権者とともに法定再開発の枠組みによる複合ビル建設を検討。これに伴い、市は09年3月、産文会館を閉館した。(森紀子)


方針転換に疑問と期待:「民有地購入は新たな負担」「にぎわいづくりへ前進を」
 熊本市花畑地区の再開発計画断念と市による多目的広場整備方針が打ち出された27日、関係者からは民有地取得という新たな財政負担を伴う市の方針転換に疑問の声が上がる一方、「今度こそ前進を」と期待を寄せる声が交錯した。
 「まちのにぎわいや景観にとって好ましくない状況が続き、じくじたる思いがあった」。同日の市議会全員協議会で、幸山政史市長は再開発断念の理由の一つをこう説明した。
 再開発計画に伴い、市は2009年3月末、旧市産業文化会館を閉館。法定再開発を念頭に資産価値を維持するため、同会館は空きビルのまま、3年半以上“放置”された。清掃や警備にかかる年間経費は300‐400万円。一方で、市など地権者でつくる花畑地区再開発協議会には、07年度から5年間で計約1億900万円の補助金(市と国の半額負担)も投じられた。
 全員協議会は市長要請で臨時に開催。慣例で質疑はなく、議会側は12月定例会で再開発断念の理由などを追及していくとみられる。一部市議には、多目的広場の整備には理解を示す反面、民有地取得の必然性などを疑問視する声も上がっており、市の方針通り進むかどうかは不透明だ。
 市議会最大会派・自民党の江藤正行団長は「産文会館を空きビルのままにしておくのは見苦しい」として市の方針に理解を示すが、「民有地まで購入しべきなのか」と疑問を投げ掛ける。保守系会派・くまもと未来の下川寛団長も新たな方向性を評価した上で、「経済効果やにぎわいにつながるのか不透明。これまでの投資が生かされるのかも検証が必要」。市民連合の田辺正信団長や公明党の鈴木弘団長も一定の理解を示しつつ、「将来は市施設の移転先に」(田辺氏)、「市主導の意味合いが強まる。慎重な議論が必要」(鈴木氏)と条件を付けた。
 かねて同会館の改修・利活用を求めていた共産党の益田牧子団長は「市長は安易に再開発に参画、産文を閉館した見通しの甘さを猛省すべきだ」と批判。広場ではなく、あくまで会館の利活用を主張していく構えだ。
 経済界からは、おおむね歓迎する声が相次いだ。熊本商工会議所の田川憲生会頭は「広場のような都市空間は、にぎわいづくりに必要。“熊本市の顔”になる」と評価。熊本城と商店街の人の行き来が活発になるとの期待感を示した。新市街商店街振興組合の安田二朗理事長も「止まったまま(の再開発)より少しでも進んだ方がいい」と肯定。まちのにぎわいに直結するだけに、今後の行方を注視する。
 当初、劇場建設などを打ち上げ、同協議会長でもある島田俊郎・雇用促進事業会社長は「花畑公園北側のNHKへの売却を決めた時点で、再開発計画は白紙に戻すべきだと考えた、市の方針には協力したい」。花畑地区開発の仕切り直しが始まった。(川崎浩平、田川里美、森紀子)

 次善の策かねえ。どう見ても負担にしかならない再開発ビルよりはましだと思うけど。少なくとも、イベントの時には便利だと思う。ただ、日常、人通りをよくする工夫も必要だろう。夏に暑くて人っ子一人いないとか、冬に無茶苦茶寒々しいことになる可能性はありうるわけで。個人的には産文会館を改修する、既存ストックを利用のほうがいいんじゃなかろうかと思っている。最終的にかかる経費はたいして変わらないようだし。
 もともと、民間が持ちこんだ案件にうかうかと乗ったのがいかんのだよな。この広場案でも民有地の購入ってことになっているけど、便宜供与くさいし。


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