「うちのイチ押し:水上村物産館「水の上の市場」:おたけさん万十:手焼きもちもちの食感」『朝日新聞』 10/11/10

「おたけさん万十」の作り方をご紹介! - 水上村BATA-O GAZOO.com
 水上村の物産館は、ちょくちょくびぷれす広場に出張してくるから、わりとなじんだ味。市房山への参拝客に出されていたが、徒歩の客が減り、忘れられかけていたものを復活させたそうだ。素朴さが良い。
 梅が枝餅の影響もあるのか。

 一度に7個焼ける鉄板に、もち米を使った米粉の生地を流し込む。その上に小豆の粒
あんをのせ、さらに生地で包む。ひっくり返し、両面に焦げ目が付いたら出来上がり。もちもちとした食感が特徴で、外はパリッとして中はホクホク。厚さ2センチ、直径6・5センチ。二つも食べれば、すきっ腹には十分だ。
 加工所は水上村の霊峰、市房山(標高1722メートル)のふもと。4合目にある市房神社は縁結びの神様で知られ、人吉球磨では古くから「御嶽さん」と呼ばれ親しまれてきた。かつては若い男女の「御嶽さん参り」でにぎわい、参拝客は焼きまんじゅうを口にした。しかし、歩いて参拝に訪れる人が減り、まんじゅうも次第に忘れられていったという。
 多良木町出身で、村に嫁いできた金崎三重子さん(57)は、昔ながらの焼きまんじゅ
うの素朴な味に魅せられた。1996年、女性9人で「おたけさん会」を結成し、焼きまんじゅうを「おたけさん万十」と名付けて復活させた。福岡県の太宰府天満宮を訪れ、名物の梅ケ枝餅の製造過程を学んだことも。こんにゃくや赤飯、山菜おこわなど扱う商品も増えた。「生涯現役」が会のモットーだ。
 小豆は薪をくべて釜でゆでる。「その方がおいしかですもん」と会長の荒嶽博子さん
(73)。地元の食材にこだわり、手作りが基本だ。4人の子どもがいる金崎さんは毎秋、家族そろっての市房山登山が恒例行事だったという。 「せっかく登るなら、来た人
に喜んでもらいたい」
 5個入り1パック450円。村物産館では毎週土・日曜、湯山温泉・元湯の駐車場一角にある販売所でも日曜に売っている。問い合わせは金崎さん()へ。       (貞松慎二郎)