「加瀬佳年先生」胸像

 薬学部のキャンパスの北門に建っている胸像。一昨年設置された新しいもの。





 加瀬佳年先生は、本学の前身熊本薬学専門学校を、次い
で熊本医科大学を御卒業。昭和五十七年三月頌声の中に定
年退官されるまで二十一年間にわたって熊本大学薬学部教
授を勤められた。先生は、我が国の薬学がまだ創薬を志向
しておらず、製薬企業さえその研究開発体制を整えていな
い時代に、「多くの患者は待っているのだ!」と創薬の重要
性を説かれ、自らその範を示されるごとく、「加瀬法」と呼
ばれる薬効評価法を考案、鎮咳薬アスベリンを創製された。
 この偉業は昭和天皇・皇后両陛下の熊本行幸に際して本
学で先生自らご進講された。先生の謦咳に接した学生達は
アリセプト、ブロプレス、ガスターを始め、数々の新薬開
発に貢献。企業の社長・役員・研究所長も多数、薬学・医学
の分野で教授となったものも二十数名に及ぶ。先生はいち
早く薬剤師の卒後教育にも意を注がれ、大学病院・基幹病
院の薬剤部長となる人材も多数輩出されら。また、熊本大
学薬学部長、同大附属図書館長としても手腕を発揮、大学
図書館や薬学部体育館の新営等を果たされ、第一〇一回日本
薬学会年会を組織委員長として開催された。先生は、ひた
すら教育・研究に専念され、学生・職員に対する温容の中
にも緊張感を滲ませた深い愛情は、教育者としての原点を
見る思いである。
 平成十五年一月二十五日、八十五歳の天寿を全うして御
逝去。熊本日々新聞社学術賞、日本薬学会奨励賞、日本薬
学会教育賞、勲二等瑞宝章従三位
 ここに先生の御功績を頌述し、遺徳を偲び、これが後進
の道を照らさんことを記念して顕彰碑を建立する。
  平成二十六年四月
          加瀬佳年先生顕彰碑建立事業会
          熊本大学薬学部同窓会
          熊本大学薬学部
          熊本大学



 台座裏面

制作
日展評議員
   石原昌一