熊本大学 くまもと水循環・減災研究教育センター出前講座「熊本地震による熊本城、石橋及び古墳の被害状況と特徴」

 県立図書館で、「震災の記憶と復興エール」に関連して開催された連続講座の三回目。前二回は、行き損ねた。熊大名誉教授の山尾敏孝氏による歴史的な石積み構造物の被害についての講演。全体的な話としては、歴史的建造物は経年劣化の問題もあり、それぞれ個別の要因が強く、一概にこれが原因と特定するのが難しい。あと、前震と本震の二度、強い地震動を受けたことが被害を大きくした側面もあると。


 熊本城、石橋、古墳の順番に紹介。特に、石橋については、あまり情報がないので興味深かった。しかし、どこも派手に壊れているな。


 熊本城に関しては、どこもかしこも壊れているように見えるが、石垣の被害は3割と。ただ、壊れていないところも、微妙に隙間ができたりするようだから、安心できないような気がするが。大天守は基礎にコンクリパイルを打ち込んでいるが、小天守は石垣を直接基礎としている。その、小天守で石垣崩落の被害が大きかった。宇土櫓は耐震補強で生き残ったが、基礎の石垣がゆるんでいるとか。ブラタモリで紹介された抜け道が、崩落した石垣で埋まっている状況。
 これから、石垣ごとの問題点の洗い出しということらしい。土の吸出し防止材が滑り面となって、崩落してしまう場所もあり。草木の悪影響はどうだったのか。上に構造物があったほうが安全なのか、無いほうが安全なのか。メカニズムの解明と対策はこれからと。


 石橋に関しては、通潤橋、二俣福良渡、安見下鶴橋、八勢目鑑橋が紹介される。
 通潤橋に関しては、側面の壁石にふくらみが複数、水管の漏水。石管が割れたのか、隙間が開いて漏水しているのか、分からないので、土を取り除いて、チェックと修復を行うと。前回の修理から、あと10年くらいは大丈夫だったはずだそうで。
 側面の壁石が崩落している橋はかなり多いと。安見下鶴橋は、地震でアーチの輪石にズレが生じて弱くなっていたところに、6月の雨で流失と。石材は回収できたのかな。このタイプの石橋の一番の弱点が、洪水と。横からの揺れで全体が弱くなっていたところに、記録的豪雨は、限界だったと。
 だいたいの石橋は内部に土が充填されているが、これを修理時に栗石をつめたりすると、一体性が失われて、崩落する危険がある。


 古墳に関しては、研究はこれからと。内部は石積みの石室だが、ここが破損している古墳がいくつかあると。