「熊本の水と緑の風景展3:御用絵師、肥後の山水を描く。」に出撃

 なんか、今日を逃すと、しばらく雨に降られそうなので出撃。図書館行って、街いって、ついでに、肥後銀行里山ギャラリーに企画展を見にいく。
 今回のテーマは、18世紀後半以降にさかんに描かれた、熊本領内の滝や景観をテーマにした絵画について。「領内名勝図巻」という、肥後国内の渓谷や滝を描いた集大成的な作品が現存するが、それに関連する作品や資料が展示。主に、雪舟の流れをくむ矢野派の絵師による作品。
 肥後国内の諸河川をめぐって描かれた「領内名勝図巻」に先行、ないし関連する作品が複数存在するというのが興味深いな。「肥後諸瀑図」と呼ばれる、各地の滝を描いた図巻が、前段階として作成されている。あるいは、最近民間から取得したという、「名勝図巻」の小型版「八代之図」「芦北之図」の存在。こういう、滝への興味が、それなりに広い層にあって、藩主が興味を持ち、藩の事業としての国内踏査が行われたと。


 展示してある絵で、個人的な好みは、杉谷行直「七滝図」と杉谷雪樵「白糸の滝図」かな。引いて、鳥瞰図的に描くよりは、ガッと近づいて描いた絵が良い。


 最近、この種の近世の景観を描いた絵画が紹介されるようになってきたので、近世熊本県の植生や草山化の問題に使えそうだなとシゲシゲと見ている。
 やはり、場所によって、樹木の生え方にかなりちがいがありそう。滝図なんかだと、かなり周囲に木が生えている。これは、滝があるような渓谷は、傾斜で、木材などが運び出しにくいためだろう。他にも、岩場の上などでは、木が残っていることが多い。
 一方、「八代之図」に見られる、「高田」と注記されている八代の南の山地では、全体的に大きな木は少なく、草山化している可能性が高い。また、描写されている木も、松が多く、利用圧が高かったことが想定される。
 山地の棚田と、平野縁の低山では、植生に対する利用圧に圧倒的差があったということだろうか。


 あと、八代近郊の白島、かつては高級石材として、近代にはセメント用でほられまくった石灰岩の島だそうだけど、化石とか出るのだろうか。つーか、地質構造が気になるな。