「大熊本:県立美術館展:名品、ふたたび集う」

 昨年、地震で中断した展示会をもう一度。県立美術館が所蔵しているもの、あるいは寄託品によって、コレクションの全貌を示す展示会。
 二階の展示室三室を、それぞれ、近世までの文化財、近代日本画、熊本に関係する近代洋画のテーマで展示。さらに、細川コレクション展示室では、武具や宮本武蔵関係、嫁入り道具など。
 全体に刀剣の展示が多い印象。そして、それを女性がさかんに写真に撮っていた。なんでか、日本刀って、あんまり興味が持てないんだけどね。


 第一室は、「肥後の歴史、熊本の美」ということで、中世の禅宗寺院関係の史料や阿蘇氏関係の文化財、矢野派の近世絵画や今西コレクションの浮世絵などが展示。
 矢野吉重の「松に虎・竹に虎図屏風」が大画面で迫力がある。あと、中央に三つ並ぶ仏像が良い。報恩寺の「木造十一面観音立像」は、寒巌義尹が願主になった仏像。あと、阿蘇山岳信仰に関わる毘沙門天像と不動明王像。不動明王かっこいい。台座が微妙だったけど。


 第二室は、近代日本画が、新たな時代に直面して、どう変化したか。だいたい、永青文庫の所蔵品。細川護立コレクションが多い。あまり、熊本とは関係ない感じも。
 小林古径の「鶴と七面鳥」が一番好きかな。昭和に入って描かれた、近世の作品のリバイバル的作品。他に近藤樵仙「桃園三傑・鶴図」、菱田春草「黒き猫」、堅山南風「霜月頃」が気にいった。


 最後は「近代洋画の展開:パリ・東京・熊本」というテーマで、藤田嗣治と彼と親交のあったパリの画家作品、熊本出身者が描いた洋画が紹介される。
 牛島憲之「貝焼場の風景」の色使いが良いなあ。
 あとは、海老原喜之助の戦前と戦後の作品、「曲馬」と「群馬出動」が印象に残る。あとは、野田英夫交通機関に乗った人々を描いた作品あたりが印象的。戦前の熊本での美術展のパンフレットが興味深かった。