渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で 6』

空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)

 いよいよ、西の大国ラトロアの姿が明確になって来たな。反体制側、ウィスタルの甥であるハーミットが、国を出奔、フェリオとである。一方で、「死の神霊」を扱って、大陸に覇を唱えようとする元首の目論見。


 この巻は、基本的にはカシナート司教とフェリオの駆け引き。アルセイフを征服しようとするタートムを支援するウィータ神殿側の動き。それに対し、タートム・ウィータ連合に対抗しつつ、拘束された神殿の人々を解放しようとするフェリオ。イリスたち来訪者の存在をネタに、譲歩を引き出そうとするフェリオ。
 一方、戦争を起こしたい諸々が、暗躍。ラトロアの意をうけアルセイフとウィータの間にも戦争を起こさせようとするシズヤ、そして、どうしても戦争を起こしたい神殿騎士ベリエ、それぞれがウルクの命を狙う。


 そして、それらの流れを断ち切るように、御柱の異常とそこから現れる異様な兵士の出現。神殿は戦いの場となる。


 リセリナの過去や地球?と空鐘の惑星の時間差の話が出てくる。この世界の人類そのものが、御柱=魔術師の軸を通して送られて来た存在かもしれない、と。そういや、異世界転生を、転生先の世界から見たような話だよなあ、この作品。