地震イツモプロジェクト『地震イツモノート:阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル』

([し]5-1)地震イツモノート (ポプラ文庫)

([し]5-1)地震イツモノート (ポプラ文庫)

地震イツモノート―阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル

地震イツモノート―阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル

 まあ、副題どおりの本。阪神・淡路大震災経験談を元にして、なにが起るか、何が必要なのかを紹介する。家がぺしゃんこになると、壮絶さが違うなあ。あと、携帯端末が全く出てこないあたりは、時代感覚だな。


 私自身が熊本地震を経験しているが、どう経験したのかで、生存難易度とかそのあたりが変わってくるのだなあ。家が無事で、太陽光発電で昼間は電気が供給されたというのが、大きかったのだな。とりあず、水の確保に苦労したのが一番かな。あと、胃腸が弱るので、下手に買い食いは良くないとか、買い物が難しくなるとか、めちゃくちゃ甘いものが欲しくなるとか。
 近所も倒壊した家は全くなかったし。おかげで、大工道具の類が必要になることはなかった。しかし、あちこちブロック塀が倒壊していたし、昼間だったら、バールの類が必要になったかも…


 地震が起きた瞬間から直後、救援活動や避難生活、そしてその後の防災活動へと、様々な人々の経験談が、一言単位で並ぶ。
 地震が起きた瞬間に何もできないというのは、全くその通り。火を消すどころじゃない。フライパンで煎られる豆のように翻弄されるばかり。とにかく、震度6とか7だと、家具がガンガン倒れてくるので、固定は大事。最低限でも、潰されないように配置を工夫する。一番良いのは、寝る部屋には家具を置かないこと。熊本地震では、意外とテレビとか、お皿が飛んでいないのだよなあ。揺れ方に差があるのかな。阪神大震災では、テレビが飛びまくっているけど。
 家がなくなると、大きなハンデになるから、とにかくぶっ壊れないような家を建てる・住むは大事。


 地震時のインフラ側の対策は進んだなあ。「ガス臭かった」「ライターで明りを取るのは危険」と述べられているけど、このあたりは、安全度が格段に上がっている。その後、数日にわたってインフラが麻痺するのは一緒だけど。我が家は、太陽光発電で自分の家だけはまかなえたのが大きい。おかげでテレビから情報を得ることができたし、冷蔵庫の食べ物が保存できた。ガスが止まっても、電磁調理器で代替できた。とにかく、水が困ったな。
 物が出せないというのも、あるある。家具が動きまくって、行方不明になる。特に私の部屋は、平積みの本で埋まったから…
 ガラスが割れたりするから、枕元に靴は大事。


 神戸や益城では、家の倒壊が多数出て、それだけ、被災者のショックも大きかった。バールやジャッキが役立った、と。バールは常備しておいても良いかもしれないな。
 近所づきあいが最大の防災。声を掛け合ったり、情報をもらったり、物資を分け合ったり、生存に有利。
 ヘリコプターの音がうるさかったというのが、2ページ占められているのが、まさに報道問題だよなあ。熊本地震でも、前震の時には、益城上空を何機かヘリコプターが飛んでいたな。本震の後は、そういうの気にする余裕なかったけど。あとは、アマチュアカメラマンが不快だったとか。


 その後は、長い避難生活。食糧も日用品も足りない。あるいは、避難所リーダーの必要性。同じところでな、何度も巨大地震が起きるわけではないから、避難所運営の経験値が溜まらないのが問題だよなあ。
 とにかく、トイレが…


 最後は、その後の防災活動とか。
 防災と言わない防災活動。ゲームを取り入れるとか、「街を探検」という形でマップをつくるとか。しかし、こういうの、運営する人を、どう確保するかが問題のような。この本の刊行から10年たった現在、活動が継続できているのだろうか。
 頑健な体が重要な防災と。その点で私は、かなり問題ありだな…
 持ち出し袋の内容例なども有用。