- 作者:小林 紀晴
- 発売日: 2017/08/17
- メディア: 新書
「基層としての縄文時代」って、ロマンはあふれているけど、学術的にはちょっと受け入れがたいものだよなあ。
いろいろなお祭りをサクサクと読んでいける本。全部で16の祭りを紹介する。
こうしてみると、いろいろなお祭りがあるのだな。宮古島のパーントゥ、有名になりすぎて観光客がトラブルを起こしたので、時期を明らかにしないようにしたというのが、これまた。パーントゥって、よく考えると、なかなか怖いよなあ。泥の神様というか、怪物というか…
国東市のケベス祭や長野県野沢温泉村の道祖神祭りは、八木透『日本の民俗信仰を知るための30章』で紹介されていた京都市の北のほうで行われている愛宕神社関係の火祭りと通じるものを感じるな。あと、熊本市の近津鹿島神社の火の神祭りとも通じるものを感じる。
埼玉県ときがわ市の大野の送神祭は、疫神を文字通り追放する儀礼でおもしろいなあ。もてなして送り出すんじゃなくて、割とガチに追い出している。同じく鶴ヶ島市の脚折雨乞は、伝統的な雨乞い祭祀を、地域の再結集の核として解釈し直したというのがおもしろい。あと、竜の作り物がでかい。
稲虫来るな、
実盛失せろ
と言っているのを耳にした。「実盛失せろ」という言葉に私は当然ながら、大きく反応した。椿山虫送りのことを思い出したからだ。気になって調べてみると、源氏軍との戦いの最後、斉藤別当実盛が乗っていた馬が稲の切り株につまずいたという。落馬したのだろうか。とにかく、それがもとで討ち取られたという。そのことから実盛の霊は稲を憎むようになり、実盛が稲を食い荒らす、あるいはその霊が害虫を呼ぶという伝説になったようだ。不名誉なことに害虫の代名詞とされてしまったことになる。虫送りのことを実盛送りまたは実盛祭と呼ぶ地方があることも知った。p.100-1
へえ。実盛さんも死後に余計な汚名をw