永久めぐる『花は淫獄へ堕ちずにずむか:転生脇役の奮闘』

 ヤンデレヒーローを攻略する乙女ゲーの、ヒロインをサポートしつつ、巻き込まれて酷い目に遭う親友キャラに転生してしまったルーシャ・リドル。親友のジリアンがヤバいキャラとくっつかず、自分も酷い目に遭わないようにと奔走する。「ヒロイン」が比較的穏健な相手とカップルになって、一安心と思ったら、自分がヤバい人に捕獲されてしまうことに。


 Web版を読んでいて、コミックスが、まるっと省略されている学園生活を描いているのに驚いて、文庫版を入手。一年生を終えて、ゲームから解放されて喜んでいるところで、いきなり王太子に捕獲、そのままエッチシーンになだれ込む展開から、紙版は学園生活が比重が大きく。
 ヤンデレキャラに恐怖と警戒の視線を向けていたら、それが目について、王太子に執着される逆効果感。
 王太子に惹かれつつも、王妃になる決心がつかず、逃げ続けたら、ヤンデレヤンデレて、外堀を埋められて強硬手段に出てこられることに。エロいシーンは、卒業式の夜だけか。
 すっぱり距離を取るか、サクッとくっつくか、どっちもつかずな態度を続けられたら、そりゃ、しびれを切らすわなあ。


 「ヒロインの親友」というポジションが絶妙。
 親友のジリアンとイアンの恋路を気にしつつ、乙女ゲームのイベント的なトラブル、学園祭で薬を盛られたり、街角で誘拐されかけたり、にまきこまれる。現実とゲームの狭間で惑う。