福留しゅん『残り一日で破滅フラグ全部へし折ります:ざまぁRTA記録24Hr. 1』

 題名そのままのお話。
 卒業パーティ(断罪)前日に、前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢で断罪直前であることに気付いた主人公は、一晩で逆転すべく奔走する。
 もともとの気位の高さが、前世庶民とミックスして、微妙に方向性が変わった感じかな。今まで、王妃になるのだと自分に言い聞かせて、今までの人生を無駄にしたくないと執着していて心がさっぱりと拭い去られる。すっぱり婚約者辞退。
 手持ちの中古ドレス、宝飾品を売却して軍資金を作り、一気に関係者を動けなくしていく。


 一方で、「ヒロイン」の側にも、獅子身中の虫がいて、王妃や第三王子を動かしていて…
 王家側も、あっさり王太子を切り捨て、婚約者を第三王子にすげ替え。第三王子も主人公アレクサンドラに心があって。


 悪役令嬢の執事は追放、宰相の息子は寝ているところに氷水をぶっかけられて風邪、大商人の息子は裏帳簿を盾に脅されて引きこもり、将軍嫡男は下剤でトイレからでられず、王弟は秘書に媚薬を盛られて大ハッスル、教師は別の令嬢が牽制して、暗殺者は捕まって処刑。次々と潰していく様が痛快。
 最終的に「ヒロイン」は修道院に押し込められて、王太子と側近はレコンキスタの指揮を執って大敗、失脚することに。さらに、王太子とヒロインをモデルにしたエロ小説出版という追い討ちw
 つーか、「ヒロイン」も転生者で、かつ二重人格となかなかな設定盛り。


 流れが変わって、断罪側だったはずの王太子が非常識な人扱いになっていくのがなんとも。そして、「ヒロイン」も勝機があるから作戦変更ができない。
 王国の権威構造的に、そもそも「ヒロイン」の逆ハールートに無理があった、と。


 弟キャラだった第三王子のジェラールが、突然王子様キャラに変貌して、アレクサンドラをドギマギさせるのも、物語のスパイスになっている。
 いろいろとバランス良く、楽しませる作品になっている。