今年印象に残った本2022(ラノベ・フィクション部門)

 今年はなろうにのめり込んでいて、前半にはほとんど読めていなかったが、後半、なろう系を購入して、とりあえず、ギリギリ10シリーズ以上読んだ勘定に。ネットで気に入った作品の続きが紙本だけとか、大幅加筆とかなると、やはり買わざるを得なくて。異世界恋愛カテゴリの本が上位を独占する結果に。
 いままで、B6版とか、五六版クラスの本避けてたのに、ここのところ急増中。置く場所が…

10位 すかいふぁーむ『史上最強の宮廷テイマー:自分を追い出して崩壊する王国を尻目に辺境を開拓して使い魔たちの究極の楽園を作る』

 追放モノ。1巻はネット既載部分。
 ぜーレス王国の軍事力を支える宮廷テイマーだったユキアは、それを軽視する貴族たちの陰謀によって唐突に国外追放されてしまう。消される危険も考えた彼は、北の地で、モンスターたちをテイムして、独自の勢力圏を築こうと試みる。そこに近隣の亜人たちや、彼らと関わる神獣とテイムや同盟で傘下に入れ、巨大な勢力に成長していく。
 一方で、ぜーレス王国ではユキアのテイムを失って竜や魔獣が暴れ出し、甚大な被害を受ける。それにもかかわらず居丈高な交渉を行って属国状態に。さらに、ユキアを舐めた王子たちの襲撃で、再戦。事実上消滅することになる。
 なかなか、王国首脳部がアホ過ぎて…

9位 黄波戸井ショウリ『技巧貸与のとりかえし 2』

 とりあえず、巨大怪獣vs.巨大ロボのバトルがいいですねw
 今回はドワーフ族救出編。冬ごもりの間に、獣人差別主義の騎士団に囚われたドワーフの娘を救出に向かうマージたち一行。しかし、立ち塞がるのは暗示を武器にする団長。マージ自身も暗示で、強力なスキルをいつの間にか貸し出すことを強要されていた。しかし、スキルの強さはシナジーで。
 灼熱のダンジョンというのもいいねえ。普通の人が生き残れない、溶けた金が流れるダンジョン。そして、そこに潜む巨大なドラゴン。魔海嘯の発生とラスボスドラゴンと巨大ゴーレムのガチンコバトル。
 ドワーフの粗暴さが、なんだかいいw

8位 まさみティー『黒鳶の聖者』シリーズ

 ウェブ連載の2章ずつを掲載。今回はマデーラ市での「赤会」の陰謀を粉砕し、邪神を滅ぼすエピソード。その後の、故郷アドリアへ戻っての幼馴染みジャネットの異変と勇者ヴィンスの現状を知り、再びハモンドに赴くエピソード。次巻分は更新が進んでないけど、どうなるんだろう。
 マデーラで邪神を粉砕し、勢いに乗ったところで、幼馴染みがぶっ壊れて逃げ込んでくる展開がいいねえ。急転直下という感じで。

7位 彩戸ゆめ『真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られてももう遅いです!』シリーズ

 こちらも、紙版で続編が出ているので。購入。現在のところ、ウェブで掲載された部分を読了。
 王太子エドワードから「真実の愛を見つけた」と言われ、婚約破棄されてしまったマリアベル。今までの努力は無駄だったのかと悩む中、気分転換に隣国の花祭りへと連れて行かれた彼女は、そこで隣国の皇太子と出会い、皇后にと望まれる。徐々に仲を深める二人。しかし、王国では彼女を取り戻そうとしたり、マリアベルの父親が拘束されたりときな臭い動きが見えだして。
 今までの人生をつぎ込んだ努力を否定された苦しみ、信頼し合える相手を見つけた喜びといったマリアベルさんの心の動きがいいなあ。
 そして、「古代王国」の復活を望む連中の動きが今後の鍵になってくる、と。

6位 マチバリ『私が死んで満足ですか?:疎まれた令嬢の死と、残された人々の破滅について』

 ネット掲載の本編が削除されてしまったので、本を購入。
 婚約破棄をきっかけに、一人の少女が押しとどめていた破局が一気に訪れる。ヒロインの家族、元婚約者、破壊工作員などが一気に破滅していく。しかし、戦争ごっこにうつつを抜かして、なにも顧みないサイコパスな父親に、宝石集めに狂奔して禁制品も買い込んだ義母ってやべえな。財政破綻状態の家を守り、王太子の婚約者として頑張り続けたヒロインが、最後のストッパーだった。
 紙版では、義妹の再起シーンがあって、ちょっとうれしい。

5位 まつりか『婚約者に側妃として利用されるくらいなら魔術師様の褒賞となります』

 婚約者の王太子に浮気されて、あげくに側妃になるように打診された主人公は、一計を案じて、国の「英雄」となった異国の魔術師に、褒賞として自分を望むように打診し、猛烈なアタックを開始する。で、順調に中を深めて、王子にざまぁする。
 アメリアさん、結局、ロワールがけっこう好みだったってことなのかね。そりゃ、持ちかけられた方は驚くわな。
 半分くらいが後日譚。魔力量が多いと、近くにいる人が魔力酔いする。さらに、魔術は感情の振れからエネルギーを汲み出すため、嫉妬深く束縛が強い。結果、鬱陶しいレベルの溺愛が続くことに。それを平然と受け止めるヒロイン強い。

4位 ミズメ『悪役令嬢のおかあさま』

 三代にわたる妄執を、転生令嬢が覆すお話。
 愛する人に振り向いてもらえず、娘を悪役令嬢に育ててしまうはずだったヴァイオレットは、頭を打って前世を思い出したときから、乙女ゲームのコースを意図せず改変していくことに。一方で、勘違いした転生者の横槍も入り…
 つーか、鍵開けとか、毒物耐性の教育を受けたご令嬢って。そして、それが普通の令嬢が受ける教育と思い込んでいたヴァイオレットさんの天然ぶりがw
 つーか、乙女ゲームとそのノベライズのヴァイオレットの外道ぶりが…

3位 小田ヒロ『弱気MAX令嬢なのに、辣腕婚約者様の賭けに乗ってしまった』シリーズ

 Web版の続きが紙版しかないとなると、買わざるをえない。とりあえず、3巻まで読了。
 とりあえず、ルーファスみたいなのを「スパダリ」というのかな。そっち方面の用語良く知らないけど。あと、ヒロインのピアちゃんがかわいい。弱気純粋箱入り娘。あと、難聴ヒロイン。
 とりあえず、乙女ゲームの「強制力」が毒というのがエグいな。そして、3巻で、陰謀を交わして、とりあえずゴールイン。

2位 ただのぎょー『モブ令嬢テサシア・ノーザランは理想の恋を追い求めない。』

 婚約破棄から、ちゃんと戦争になってるのが良いなあ。「ちゃんと」というとアレだけど、婚約破棄は手切れだからねえ。
 侯爵の息子を「推す」田舎男爵の令嬢なヒロインが、集団婚約破棄の渦中で、あれよあれよと侯爵令息にとっ捕まるお話。自信なげなヒロインが、徐々に釣り合う存在になりたいと努力していく姿が良いね。
 全体的にビクトリアンスタイルなのだが、軍隊だけ中世風というのもちょっと楽しい。

1位 桜瀬彩春『長い夜の国と最後の舞踏会:ひとりぼっちの公爵令嬢と真夜中の精霊』

 一族を皆殺しにされ、ただ一人生き延び、敵の王宮の中で生きる公爵令嬢の復讐譚。そして、異類婚姻譚。主人公ディアさんの、天然さが良いなあ。その上で、家族を皆殺しにした王家への敵意を維持し、人ならざる者に焦がれる。
 精霊と約束して土地と生きる場所を分けてもらったのに、人々はそれを忘れ果てしまい、すべてを奪われてしまう。非常におとぎ話的な道具立てがいいなあ。あと、料理がいろいろ美味しそう。
 本編では何を考えていたのかよく分からなかった第一王子にして、ディアの元婚約者リカルドが何を背負っていたのか。紙版の後日譚で描かれているのがうれしい。そして、救いの道があったことも。