鳳ナナ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 1』

 悪人をぶん殴るのが三度の飯より好きな令嬢が暴れ回るお話。狂犬姫、鮮血姫、撲殺姫、鉄拳姫って、異名がヤバすぎるのだがw


 単純に言えば、第二王子の派閥をぶん殴り倒して回ったお話。
 ずっと第二王子に虐げられてきたが、国のため家のためを思って我慢してきたスカーレット。しかし、夜会で浮気相手を連れて婚約破棄された時、猛犬の鎖が解き放たれてしまった。隣国と通じて国内を腐らせていく宰相、それに乗せられて奴隷売買などの悪行三昧の腐敗貴族たち、そして御神輿の頭空っぽ第二王子。全部、狂犬姫のエサに…
 冒頭がすごいよなあ。「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」で、問答無用で間女をぶん殴るスカーレットさん。そこから、夜会に参加していた第二王子派の貴族たちを片っ端からぶん殴って周り、最後は第二王子をぶん殴って、夜会のホールを血の海に。復旧費用が凄いことになりそうな。
 で、その後は公爵家に潜り込んでいたスパイが暗殺を仕掛けてきたので、一撃で壁にめり込ませる。そして、奴隷紋によって暗殺を強制されていたのを解放して、その代わりに黒幕が宰相ゴドウィンであることを聞き出して、黒幕をぶん殴りに行く。
 奴隷オークションの時は宰相の警備が薄くなるということで、屋敷を抜け出してスラム街に繰り出して、仲介役をとっ捕まえてつなぎをつけて、オークションに潜入成功。
 最終的に、オークション会場で舞台裏に乗り込んで、次々とぶん殴って、逃亡を図るゴドウィンとそれを回収に来た隣国の王子をお空に飛ばして、お終い。ほとんど荒事というのがすごいなあ。


 とりあえず、腹黒王子ことジュリアス第一王子、スカーレットのこと好きすぎるなあ。「玩具」とかいいながら、素直じゃない。そして、スカーレットと同レベルでの問題児というか、愚か者を踊らせて楽しむ悪趣味人。
 スカーレットとジュリアスに挟まれて、胃を痛める兄レオがなんとも…
 そういえば、国王に、スカーレットの父親母親が全然出てこないのはなんでなんだろうか。


「やはり殴るなら、たっぷりと肥え太った悪い貴族が一番スカッとすることです」ってセリフが、もうね。