腹黒兎『王宮侍女アンナの日常』

 真面目に仕事をしていれば、見ている人は見てくれているというお話?
 現王が王子時代に「真実の愛」を題目に婚約破棄を行った時から、「真実の愛」が流行り、宮廷は性的に乱脈極まる状況に。さらに、宮廷の重職たちも縁故人事で乱れきっている王国。
 侍女長の姪が狙っていた男性と姉が結婚したことから、嫌がらせでメイドの下働きをさせられている主人公アンナ。しかし、彼女は腐らず、真面目に掃除に励む。というか、王宮のどこもかしこも、情事の跡で汚れまくっているというのがアレだなあ。そして、変態さんとよく遭遇するアンナ。
 そんな中、色事師な子爵様におもしれー女枠で構われたり、高位貴族の女装クラブのお化粧担当になったり。地味に人脈が広がっていく。
 逆にそれが嫉妬を呼んでしまい、アンナが貴族であることを広められ、メイドたちの中で浮いてしまうことに。メイド仕事から、侍女らしい仕事へと配置換えの要求をすることに。侍女長と侍女頭、仕事が出来ない人なのか。


 アンナが、あちこちで無自覚に人を動かしている一方、乱れた宮廷を粛清すべく動いている人々がいて。巻末番外編の、外務大臣と古参メイドのマチルダのやり取りが不穏。
 というか、アンナさんが無自覚に拾ってくる噂で、失脚しそうな人々がいるのか。


 しかしまあ、「真実の愛」で結婚したのに、時間が経って、国王も王妃も、愛人複数抱えてるって、儚いなあ…


 そして、色気がなさ過ぎるアンナさんに感じる、安心感w
 あと、タイトルが短いのも安心感。