少し思い出を書いていく

今ごろは火葬も終わっているいるころだろう。
家にきたのは私が中学生の頃。キャンプに行っている間に勝手につれてきて、名前までつけていたので起こった記憶がある。
子犬のころには軽々と抱き上げられたので、塀の上に載せていじめたことがある。がたがた震えていたっけ。この後、抱き上げられると抵抗するようになって、悪いことをしたなと思った。
若い時分はよく脱走する犬だった。作のちょっとした隙間を抜けて外に出て行ってた。そのたびに家族総出で探し回った。見つけても追いかけっこをしているつもりだったのか、なかなか捕まらなかったなあ。夜逃げ出して朝方にはひょっこり戻ってきたり。散歩に連れて行くと嫌がる場所があったので、脱走中になんかいやな目にあったこともあるのだろう。
結局、取って来いを覚えなかったな。ボールを投げると追いかけていって、咥えてそのままもどってこない。無理やり取り返すしかなかった。
若い頃は紐につないでいたが、その範囲は芝が育たず土が剥き出しになっていた。年を取るにつれて土が剥き出しの範囲が狭くなって、最後は全部芝生になっている。
中年の頃の思い出はあまりないな。私も高校、そして大学は県外とあまり家にいなくて、犬と遊ぶ時間も少なくなっていった。5歳越えたあたりから、あまり活発でなくなって遊ぶことも減ったように思う。それでも長時間の散歩をしたりしていたっけ。ちょっと変わった景色を見つけたりした。
一生のかなり長い間、盲目ですごした犬だった。かなり早くから片目は緑内障が進行し、私が県外の大学に行っている間に失明した。それでもその後、外でそれなりにうまく生活をしていたようだったが、ここ数年は衰えが目立ち、いろいろ手間がかかった。
数年前には背骨が曲がり薬を飲みつづけることになった。背骨を伸ばすためと称して獣医さんに首輪を持って持ち上げるよういわれ、しばらく続けたが、嫌がり私が出てくると物陰から出てこなくなったのでそれで終了した。そのときは一週間ほど動けず牛乳で生きていた。
一時持ち直していたが、今年に入ってから衰えが目立つようになった。寝床の場所が一定しなくなり、段差を越えられなくなった。夜中になくようになり、鎮静剤を投与してからそれは一層顕著になった。右半身の衰えがひどくなり、まっすぐ歩けなくなり、疲れると倒れる。9月以降、食事もまともに取れなくなり、口まで持っていって食べさせていた。10月に入ってからは立つこともできなくなり、ほとんど寝たきりの状態。私自身体調を崩してあまり構っていなかったが、完全介護の状態で非常に手間がかかった。食事もできなくなり、スポイトで牛乳を飲ませていた。
そして今日死亡。
いろいろ犬のために準備された道具が撤去され、庭の見通しが良くなったことがさびしい。完全介護状態であまりの手間に悲鳴をあげていたが、いなくなってみると心にぽっっかりと穴のあいた気分である。