佐山二郎『機甲入門』

機甲入門―機械化部隊徹底研究 (光人社NF文庫)

機甲入門―機械化部隊徹底研究 (光人社NF文庫)

日本の戦車・装甲車の歴史、砲兵の機械化、軍用自動車の歴史など、日本軍の機械化に関する概説。
戦前の日本の戦車の研究・装備の貧しさが一入感じる。1926年に戦車の研究を始めたというあたりに、日本軍の戦車に対する感度のレベルが現れている。満州事変で実戦投入、日中戦争で拡大開始、太平洋戦争中は優先順位を下げられ、本土決戦を前提に増強されるが使われずに終戦。日本戦車の全盛期は5年程度、98式と97式で、主力戦車は全部語れてしまうのがなんとも。
日本軍の戦車のデザインそのものは結構好きなんだけど。弱っちそうなところなんか特に。


砲兵部隊の牽引車や軍用自動車の歴史についての解説が、特に有用だと感じる。
戦前の自動車産業、というか世界の自動車産業全体が、軍隊との関係を抜きには語れないのではないだろうか。フォードなんかもあるから、飛行機や船あたりと、簡単にいっしょにはできないかもしれないが。