佐山二郎『日本陸軍の火砲:歩兵砲 対戦車砲他』

日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他―日本の陸戦兵器徹底研究 (光人社NF文庫)

日本陸軍の火砲 歩兵砲 対戦車砲 他―日本の陸戦兵器徹底研究 (光人社NF文庫)

 市立図書館にまとめて入っていたので、借り出す。日本軍の火砲を紹介するシリーズ。歩兵部隊に配備される歩兵砲、対戦車部隊用の対戦車砲、戦車用の火砲や車載機銃、自走砲などを紹介。
 歩兵砲ってのは、第一次世界大戦の戦訓で、整備されたものなのだな。機関銃座を制圧するための狙撃砲などの37ミリ砲、連隊や大隊単位で配備する山砲や歩兵砲。佐々木春隆『長沙作戦』『華中作戦』でも、中国軍部隊に対して、山砲の火力で優位に立っていたな。歩兵中隊規模だと、むしろ本職の砲兵とはあまり縁がない雰囲気だった。


 対戦車砲戦車砲は、ともに戦車に対抗するために、似たような発展過程を示す。特に、対戦車戦闘が課題になった、昭和10年代後半に入ってから。しかし、昭和16年にもなって、37ミリ戦車砲の新規開発とかやってるのか。リソースの無駄さが。
 日本軍の火砲は、牽引能力の欠如が、常にネックになっているな。歩兵部隊が運用しやすいように、軽くしなければならない。しかし、戦車の重装甲化に対応しなければならないというジレンマは、どこでも直面しているが。日本は、その状況で軽さを優先する傾向があるな。47ミリじゃなくて、57ミリを採用していれば、シャーマン相手には何とかなったんじゃなかろうか。
 あとは、いろいろ間に合っていない感が…


 後半は、車載機銃や戦車用の内トウ銃の話も興味深い。機関銃は、歩兵用のと共通で、いろいろと器具を組み替えて、普通の機関銃としても使える。ドイツのMG39や42なんかは、どのように処理していたのだろうか。あと、英米の車載機関銃とか。