「どうなるクロマグロ漁:国際取引禁止案否決されるも… 南仏の漁師、将来不安視」『熊日新聞』10/4/6

 先日否決されたワシントン条約クロマグロ取引禁止案に関して。ちょっと気になることが書いてあったのでメモ。

 「クロマグロは絶滅の危機にひんしているわけではない。(巻き網漁、蓄養など)漁業の産業化の第一の犠牲者であり、産業化批判の象徴なのだ」。世界自然保護基金WWF)で持続的漁業を担当するフィリップ・ブレームさんは、クロマグロ漁を「標的」とした理由を説明した。
 産業化の結果として「例えばセネガルの人々は魚を買うことができない。高価になりすぎたからだ」と指摘。特定魚種への日本など先進国の強い需要が、世界の漁業をゆがめていると批判する。
 これに対し、セトの漁業組合サトアンのベルトラン・ベンドリング専務は「WWFは政治目的にクロマグロを利用しているだけだ。おかげで、マグロ漁民は悪魔のように見られる。たまらないよ」と憤る。

 このWWFの理屈は無茶苦茶だな。そもそも、近代の初めから漁業は「産業化」していたし、特定魚種への偏った利用は常にあった。ニシンなんか、その例だし、個体群単位では結構やばいのでは。このような論理で、実際に危険でもない生物を利用するならば、ワシントン条約体制そのものの説得力が失われていくと思うのだが。
 確かに、マグロの資源量は減少していて、保護と管理が必要であるものの。個人的にいえば、マグロに強力な漁獲規制がかかって、流通が激減してもかまわないと思っていたり。だいたい、庶民が回転ずしで安く食えるってのが間違っているだろう。


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米国や欧州で漁業を続けるには、非持続性な行為をしていないと言うことを社会的に証明することが義務となっている。これは漁業にとって、必ずしも悪い話ではない。この義務を果たしている漁業の方が利益を生んでいるという事実があるのだ。.katukawa
2010-03-09 15:21:3

ここは同意かな。