- 作者: 白輪剛史
- 出版社/メーカー: ロコモーションパブリッシング
- 発売日: 2007/09/25
- メディア: 単行本
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あとがきによると、コウモリ、野生由来のげっ歯類、ペット用サル類の輸入が全面禁止となり、哺乳類の8割が輸入不能となり、動物輸入商は存亡の危機にあるそうだ。ただ、このあたりはやむを得ないところがあるのではなかろうか。これらの動物が人畜共通感染症を媒介する可能性が高いことは確かなのだし。輸入動物が野生化して、生態系に影響を与えている状況なんかを見ると、問題があるのは確か。あとは、近接した生物間での感染症の媒介なんかの問題もあるだろうし。
生きている動物を捕獲して日本に連れてくるまでにはさまざまな手続きが必要になる。動物取引を語る際にワシントン条約は避けて通れない。取引されている多くの動物がワシントン条約に抵触している動物だから高値で売買されていると言われる。これはあながち間違いではないが、本来は単に取引量が多いからワシントン条約に記載されているのだと考えてほしい。
ワシントン条約記載種の動物は絶滅に瀕しているわけではなく、国際取引によって絶滅の危機に瀕してしまうことを防ぐために記載されているのだ。
「ワシントン条約記載種=絶滅危惧種」ではない。
取引が多いから記載されているわけであって、本当に絶滅の危機に瀕していても国際取引が行われていない種類や可能性のないものは記載されていない。需要のないものは動物商も売れない。だから国際取引もされない。取引によって絶滅するわけではないからワシントン条約には記載されないという図式になるわけだ。p.7-8
私に言わせれば、ペットとして捕獲・消費されることで環境に与える影響は地球環境に与えているほんのわずかでしかない。
すべての動物取引を禁止したところで生物の絶滅速度はまったく衰えないだろう。単に叩きやすく目につくところをつついているだけの弱いものいじめではないか。p.202
うーん、動物商という立場からの意見だな。半ばは正しいが、生態の移入が、移入先の環境に与える影響を考えると、慎重にならざるを得ないのだが。最近では、カブトムシの移入と遺伝子汚染なんかもあるわけで。