柳原望『高杉さん家のおべんとう 1、2』

高杉さん家のおべんとう 1

高杉さん家のおべんとう 1

高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)

高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)

 オーバードクターでアルバイトで食いつないでいる主人公高杉温巳(ハル)のところに親を失った中学生の従妹久留里が転がり込んでくる。そこからお弁当を通じて家族関係が形成されていく話。この久留里さんがまた良い。美少女でエキセントリックとは黒髪ロング少女の鏡のようだ。寡黙で感情表現が下手、言葉がたどたどしくて、節約に情熱を燃やすと、なんとも良い造形。語尾に間ができるのが萌える。
 しかし、二巻目にして主人公のハルを中心に三角関係が二つも出来上がっているのが恐ろしい。しかもハルは全く気付いていないという。丸宮兄弟と女性の取り合いというまた、何というか。修羅場展開はあまり重くならなければいいな。
 あとは、主人公ハルの環境もおもしろい。地理学のオーバードクターで、一巻の終わりに助教のポストを確保する。作中の環境を見ていると、国公立、しかもそれなりの規模の大学のようだな。旧帝大、名古屋大あたりがモデルなのだろうか。あと、研究室は人文地理か経済地理的なようだが、国内、アジア、アフリカをフィールドワークするってあんまり多くないような気がする。アジア・アフリカをあちこちフィールドワークするってのは、むしろ文化人類学のイメージなのだが。まあ、これは私が知らないだけか。