笹本祐一『星のパイロット2:彗星狩り 上中下』

 前日に続いて『星のパイロット』シリーズ。個人的には、ラノベのオールタイムベストの一つ。
 彗星を捕獲し、地球軌道に投入。それによって、軌道上に大量の水資源を確保するプロジェクト。これを実行していた会社が、彗星の分裂によって倒産。彗星の所有権と採掘権は、最初に彗星に人間を送り込んだ企業の手に移ることになった。われらが中小宇宙企業スペース・プランニングも、名だたる大企業に混じって参加することになって… という話。
 弱小企業が、史上初の民間企業による地球圏外への有人宇宙船の飛行を、他の大企業に混じって行う。上巻はなんで参加することになったかから、あちこちからジャンクパーツを集めてくる話。中巻は宇宙船をでっちあげるところと他の宇宙船をにらんだタイムスケジュール、下巻は宇宙塵クラッキングで先行する宇宙船が航行不能になりその救援と、さらに軌道変更のついでに彗星に一番乗りするまで。参加する宇宙船、四隻も、水素-酸素、ムーンブラスト、プラズマロケット、イオンジェットとそれぞれに推進システムが異なり、それぞれの特性の差が、物語をおもしろくしている。
 独特のメカメカしさというか、微妙に貧乏くさいのが楽しい作品。