記者の目:阪神の経験から考える震災復興=田畑知之

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110527k0000m070171000c.html

つまり、被災地外の公営住宅に住み着いた人たちは、兵庫県内外を問わず、そこでの定住を1年半で覚悟した。荻野教授は「被災前の地に戻りたくても移動先での生活が安定すると動けなくなる。共同体を復興するには、定住を決意する前に復興計画を示す必要があることを、この調査は示唆している」と言う。

大阪大の林敏彦名誉教授らによると、阪神大震災の場合、95年からの5年間に約7.7兆円の復旧・復興事業費が投じられたものの、うち約9割が被災地外に流出した。工事主体の事業を請け負ったのは主に被災地外のゼネコンだったからだ。現場作業員として働く形で地元に恩恵はあったが、神戸経済は震災前の8割程度に縮小した。復旧・復興事業はインフラなどの更新需要の先食いに終わり、安定した新規雇用を生まなかった。



 まるっきり同感。
 結局、長田区なんかの被害が酷かった地域では人口が回復していないんだよな。郊外の仮設住宅などに移転して、そのまま戻ってこなかった。そう考えると、高所移転とか、理想都市づくりみたいな話をしている場合じゃなくて、ある程度の安全が確保できるならなるべく被災地から動かさない方向で、対策を練るべきなんだよな。地域が丸ごとなくなる危険性は結構高いと思う。