震災被害と格差など(阪神大震災?長田区の例) - r_shinehaの日記

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 災害による被害は、その社会の脆弱性の顕在化であり、社会的弱者が被害を受けやすい。阪神大震災では、生活保護受給者の死亡割合が高く、仮設住宅への入居者の約7割が、年収300万以下だったという。社会的弱者ほど、脆弱性の高い住居に住むことになるから、こういう事態は、当然といえば当然なのだろう。
 また、復興の過程でも、格差は影響する。長田区では火災による建物の被害が突出して大きかったこと、「復興」に際して、もともと住んでいた世帯の2-3割程度しか、戻ってこられなかったこと。区画整理と再開発の結果、家賃が上昇した結果、経済的に弱い層が追い出される結果となったことが指摘される。あとは、都市計画の政治性の問題の指摘。


 阪神大震災の被災地では、人口が回復できていない状況、さらには社会的弱者が当該地域から結果的に「追放」されてしまった状況は、災害復興計画の大きな欠陥としか言いようがない。そして、東日本大震災の被災地でも、結局のところ、同じことが起きるのではないかと危惧する。正直、災害に強いなんとかとか、高所移転よりも先に、現状回復を優先するべきなのではないかと思うのだが。
 越沢明の『復興計画』に反感を覚えるのは、このあたりに全く無自覚というか、視野に入っていない所なんだよな。正直、区画整理に長時間かかっているあいだに、経済的に弱い人間から住めなくなっているのではないかと感じるのだが。災害からの復興に伴うものに限らず。


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 うーん、自治体単位のデータをもとにした議論だと、どうしてもこう、フォーカスがあってないような感じがする。地形とか、自治体の被災面積、被災地の産業や定住の構造なんかにフォーカスしたデータでないと、どうにも病気を診察するのに外からトントンと叩いてやる方法みたいな感じがするな。
 あと、「震災報道編」の新聞のキーワードの分析から、「最初の1か月半の間において、地震津波の話題は原発に呑まれた」と指摘しているのが興味深い。