井口悦男・生田誠『京都今昔歩く地図帖:彩色絵ハガキ、古写真、古地図でくらべる』

 明治末から昭和前半にかけての写真で、さまざまなスポットを紹介した本。こうして比べてみると、興味深いな。寺社なんかのスポット単位では、意外と見た目が変わってないところは多い。一方で、街並みに関しては、昔日の面影は全然ないな。町屋が並ぶ街並みがほとんど完全に建て替えられてしまっている。四条河原町近辺なんか特に。その状態で、「京都の景観」とか言っても、あんまり意味がないよなあ。京都駅ビルとか、フランスの橋のデザインで歩道橋をかける話で、ずいぶん景観を楯に反対論が起きたけど。
 あと、京都中心部の主要道路の拡幅が昭和の頭から、大戦中に行われたというのが興味深い。四条通りなんか、かつては相当狭かったんだな。市電や鉄道、駅の写真が多く紹介されているのもおもしろい。
 そう言えば、今出川通りあたりでの鴨川の河道がずいぶん細くて、逆に河川敷が広大な様とか、京都駅の南側に農地が広がっている状況も興味深し。
 さらっと読んで、さらっと楽しむ本だな。