中世〜近世ヨーロッパ、庶民の暮らし

http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/3933271.html 塩の交易に関する研究は、中世初期については丹下栄論文とかがあるなあ。私の部屋でも、どっか埋まっているはず。中世盛期以降に関しては、日本語でのまとまった報告は見たことないような。ハンザ同盟やオランダあたりが、北海のニシンを塩漬けするための塩をビスケー湾の南部まで買いに行っていたというのは有名な話だが。ドイツの内陸部なんかは、採掘した岩塩が主流だったようだ。ザルツブルクなんかは、まさに名前からし塩の街って意味だし。あとは、塩井から塩水を採取して煮詰めるとか、バルト海沿岸では海水を煮詰める、地中海やビスケー湾では、海水を太陽で蒸発させて、濃縮する方式で塩を得ていた。バルト海の塩田は、結局、ビスケー湾あたりの蒸発式にコスト面でかなわずに、衰退しているとか。調べると、いろいろある。塩漬けニシンは、重要な長距離交易品だったわけで、ハンザ同盟や近世のオランダの重要な貿易商品だった。
→丹下栄「西欧中世初期における塩の生産と流通:ロワ-ルとロレ-ヌ」『下関市立大学論集』39-1、1995


 中世ヨーロッパの城だと、トイレは外壁の際に作られて、糞尿は堀に流し込んでいたようだ。で、堀は一年に一回程度、堆積物を掘り出すと。トイレ用の穴から侵入されて陥落した城もある。
 都市ではどうなっていたんだろうな。インフラは整っていなかっただろうけど、人口も相応に少ないから、それほど問題にならなかったのか。くみ取り式で間に合っていたのかもな。近世のパリの衛生状態が悪いのは、人口が急増したのに対して、インフラ整備が間に合わなかったという面もあるのだろうと思われる。一応、ヨーロッパでも人糞尿を肥料として利用していたようだし。


 そう言えば、ヨーロッパでも民家は基本的に木造なんだよな。城や教会、宮殿、市庁舎なんかの公的な、威儀を正した建物は石造りだけど。基本、都市の建物も、骨組みの木材を露出したハーフティンバーの建物が多かったようだ。壁なんかは、煉瓦とかいろいろな素材を使ったようだが、そう言えばあまり詳しいことは知らないな。


 しかし、新大陸産の植物が導入される以前の食生活って、本当に想像しがたいものがある。ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、トマト、トウガラシ、カカオがない食生活。ジャガイモなんかは悪魔の作物として、なかなか受け入れられなかったとか、トウモロコシは南欧の貧民層に普及したが、その結果ビタミン不足でベラクラが流行ったとか。あと、中世ヨーロッパの食生活関係の本を読むと、中世の宮廷料理では、砂糖を大量に使った料理がおおかったとか。前近代には砂糖は貴重品だったから、貴重品を大量に使用=ぜいたく=うまいみたいな感覚があったのだろうな。
 あと、麦の収量に関しては、実際にはそれなりにあったようだ。


輪切り図鑑 ヨーロッパの城―中世の人々はどのように暮し,どのように敵と戦ったか

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キャッスル―古城の秘められた歴史をさぐる

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