和ヶ原聡司『勇者のセガレ』

勇者のセガレ (電撃文庫)

勇者のセガレ (電撃文庫)

 勇者への道が受験勉強と体力トレーニングというのが、世知辛い。
 チート能力で一発逆転といかないのが、この作者の持ち味だな。父親が「勇者」で、異世界からの救援要請に応えると言い出した始まりのインパクト強いが、全体を見れば、進路に迷う一高校生がやりたいことを見つけることまでといった感じ。
 中盤まで、グルグルと家庭問題に悩む青少年のお話だったのが、終盤に入って、急速にアクションが。「魔王」を超える、何らかの存在が出現。なにやら、「地球」も危機にあるようなことが匂わされているが、続刊の布石か。
 とりあえず、主人公が、歌を通じて何らかの能力を発揮するのは確実だけど、どういう能力なのだろうな。あと、「魔法熟女」。つーか、フリフリ魔法少女スタイルは、高校生でもかなりきびしいような気がするけど。


 中学時代のクラスメイト、帯刀翔子が印象的だな。主人公を導く役割を果たす。ただ、ラストの「煤」が後を追った描写が不穏だな。操られて、敵方に回るような役割をしそう。