
- 作者: 小川英雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 新書
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前半は、全体的な流れ。後半は、個々の宗教の紹介。現在のヨーロッパ地域に拡散したエジプト・シリア・アナトリアの神々。秘儀的な宗教ミトラス教。ユダヤ教とキリスト教。哲学や学問と近しいグノーシス主義と占星術。
エジプトのイシスとアナトリアのキュベレが大手で、あとは地域的な性格が強く残った。軍人の移動が、地域的な神々を、ローマ帝国内のあちこちに運んでいるってのが興味深い。ミトラス教も軍人が主な担い手だったというし、軍人の存在って大きかったのだな。
ミトラス教って、「牛を殺すミトラスが新時代をもたらす」という信仰が基本だったのか。比較的小規模なグループ単位で、集会所のような神殿が設置され、その中で秘密の儀式を行うと。なんか、いろいろと分からないことだらけというのが、秘密結社的でいいな。
ユダヤ教が、ヘレニズムの哲学の影響をうけてすったもんだする。旧約聖書を、比喩を用いて解釈する。民族宗教の枠に留まったから、帝国当局の癇に障らなかったなど。
キリスト教が、始原には、かなり終末思想の強い信仰だったこと。つーか、いつまでも「終末」が来ないなかで、えらい人はどう説明したのだろうな。で、ギリシア哲学などを摂取して、現在の姿になっていると。キリスト教が、最終的にローマの国教になりおおせた理由として、全ローマ規模の組織を保持していたこと。外部への積極的な宣教と経済的負担の軽さ。キリスト教は他の宗教に対して攻撃的だった。三点が紹介される。
グノーシス主義の禁欲などによって肉体のくびきからのがれ、神と同一化しようとする思想。そして、占星術が広く受容されていた状況など。
しかしまあ、固有名詞が多くて、いまひとつ分かっていない。読んだのは今回で二度目だけど、まだ、敷居が高いようだ。