- 出版社/メーカー: 海人社
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: 雑誌
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ソ連時代のアンテナと兵装山盛りのデザインも、割と好きだったけど、ステレグシュチイ級やブーヤンM級のすっきりとしたデザインもなかなか。64ページの写真記事のコーストガード国際訓練に出てくるルービン型警備船も、すげーかっこいいんですけど。
ロシアは、経済の復調にともなって、海軍力の再建を行ってきたが、クリミア併合以降の国際環境の変化は、大型艦艇の建造に影響を与えつつあると。
当時、ロシアは高度経済成長の只中にあり、2009年の「国家安全保障戦略」ではGDPで世界トップ5入りを目指すとしていたから、「経済大国ロシア」としてこのくらいの海軍力を保有しようという話であったと思われる。p.86
10年ほど前のロシアって、ここまでは鼻息荒かったのか。石油輸出依存じゃ、限界があるだろうに。というか、ソ連時代にも、空母機動部隊6個編成は無理だったわけだしなあ。当面レベルでは、空母の新規建造は無理の模様と。
水上大型艦では、遠方でのパワープロジェクションを狙う大型駆逐艦リーデル級の構想が進みつつある。排水量17500トンって、またでかいな。建造する金があるのだろうか。
拡大の方向性と弱み、双方が見えてくるな。とりあえず、ロシア国内では艦船用ガスタービンの建造経験が足りないということなのかな。アドミラル・グリゴロヴィッチ級は、インドへ輸出する代わり、ウクライナ製ガスタービンを売ってもらうということらしいし。
原子力潜水艦は、とりあえずSSBNはボレイ級で代替可能。あとは、ブラヴァミサイルの調子次第というところか。一方で、ヤーセン級は、建造費が高騰して、取得に苦労している。旧ソ連から引き継いだ原潜は、かなり老朽化が進んでいるはずだから、かなり苦しい状況だな。まあ、途中あまり使っていないだろうから、問題は、燃料棒の交換というところなのかね。
通常型潜水艦も、新型のラダ級は、うまく行っていない状況。2番艦の引渡しは順調に遅れているようだ。一方、黒海艦隊向けのキロ級追加建造はスムーズに行って、6隻が就役と。新規開発の技術が失われているということなのかね。
小泉悠「ロシア軍艦が出来るまで:装備計画・研究開発・建造のサイクル」がおもしろい。研究・設計・建造が分かれているのが、ロシア式の特徴。中央研究機関があって、独自の設計局が設計を担当。ただし、政治力でいろいろと決まってしまうのが問題と。
軍艦建造を行う造船所を探して、思わず時間を使ってしまった。グーグルマップでは、造船所の名前まで教えてくれるわけではないけど、検索すると、だいたい場所が分かるな。
写真ページの新潟造船所での、駆潜艇建造写真が興味深い。
連載「現代の潜水艦」は、潜望鏡の話。航空機などからの発見をのがれるため、視野の広い低倍率と視野が狭くなる高倍率の使い分けが重要。コリンズ級の潜望鏡の不具合から、高性能の潜望鏡の設計は、かなり精度が大事と。途中にアンテナとかを持ってくると、ぶれたりする。デジタルのカメラである非貫通型潜望鏡/光学マストは、潜望鏡とは使い方が異なってくる。一瞬で、全周の写真を撮り、多くの人によって分析することができるようになる。潜望鏡の使い方と変わってくると。