今年印象に残った本2017(ラノベ・フィクション部門)

 夏あたりまでは、さかんに新作を漁っていたので、今年は新規が割りと多し。おかげで、どれをランキングに入れるか、悩むことに。
 しかし、過去の記事を読み直すと、毎年、秋になると、ラノベを読まなくなるのな。

  • 10位 月夜涙『回復術士のやり直し:即死魔法とスキルコピーの超越ヒール』

 人生をめちゃくちゃにされた回復術士の勇者の復讐譚。割とお気に入りなんだけど、やっぱり、チート感が、ね。ということで、この位置。ヒール魔法が、体を復元するだけじゃなくて、自由自在に改変し、経験や記憶を奪い、即死させる。たくさんの人間の記憶を取り込んだ結果、相当歪んでしまっているようだが。様々な技能を駆使して、強大なジオラル王国や魔王を出し抜いて、倒していく。

  • 9位 谷甲州『航空宇宙軍史:完全版2:火星鉄道一九/巡洋艦サラマンダー』

 やっぱり、航空宇宙軍史では、この巻の収録作が一番好き。やっぱり、巡洋艦サラマンダーは伝説。
 第一次外惑星動乱のアウトラインを、様々な周辺的な戦場から描いていく。しかし、本書で描かれた情報からだと、どのタイミングで航空宇宙軍が機雷封鎖を行ったのかが、見えないような。

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

 やっぱり飛行機ネタラノベはいいですね。迷ったけど、一生懸命な青少年の清涼感が印象的なこちらがランクイン。
 巨大な船と極小数の島嶼で、人類が生き延びる世界。それぞれの船の連絡を行う飛行気乗りスワローの少年シエルは、秘密の島で少女を拾ったことから、船舶国家同士の戦争を止めるべく、命を懸けることになる。

 ヒロイン格のプレイヤーキャラクター、さやかちゃんが、ついに退場。やはり、この衝撃が印象に残る。
 アザトースの御許に行って以来、めっきりダイス運が悪くなってしまったさやかちゃん。おかげで、一気にシナリオがハードになって。最終的には、神と交流する形で、睦を救って、退場。なんか、最終回っぽい。

 割と、続きが楽しみなシリーズ。
 周囲を巻き込んで霊障を引き起こす霊感少女、柳瞳佳。前の学校を退学になって、新たに入った銀鈴学院で、さっそく、心霊がらみの騒動に巻き込まれ、同級生守屋真央に相談する。そこから、心霊の世界に踏み込んでいく。2巻では、強力な霊媒を保護利用する、銀鈴学園周辺の人々が登場し、世界が広がる。続きが楽しみなシリーズ。
 普通に人間を呪殺できる道具とか、怖すぎる。

  • 5位 宮澤伊織『裏世界ピクニック:ふたりの怪異探検ファイル』

 二つ連続で、ホラー系。こちらは、ネット怪談を取り入れた作風。「裏世界」に入り込んで、徐々に自分自身が変容していくというのが、怖い。人間以外の存在からの、何らかのコンタクトではあるようだが、それは続きで明らかになるのだろうか。

 色恋沙汰から、いなり寿司しか食べられない呪いをかけられた少年、春秋。解呪を断られ続けた彼は、白結木島の花人に一縷の望みをかけて、島を訪れる。そこで、天真爛漫な花人見習いの少女、空と出会い、一緒に行動し、仲良くなる。
 なんか、すごく空気感の良い作品。

 瀬尾つかさ枠。すごく気に入っている作品なのだが、一巻打ち切りの模様…
 ナノマシンを体に注入し、脳からネットに常時接続が可能、ARが一般に普及している未来。なぜか異様に目立たない主人公は、クラスメイトとぶつかったところから、冒険に巻き込まれていく。
 とりあえず、情報を片っ端から盗む、暴走ヒロインが好きですw

 アニメ見て、結局、シリーズを全部買い揃えてしまった。アニメ&すかもか含めての評価。シリーズ全体で、実に印象的だった。いったん打ち切り後に、復活と言う異例の経緯を経ているのが理解できる。
 滅びが約束された世界で、必死に抗う少女たち。ヒロインたちの鮮烈さ。「獣」の方が、本来の人類の姿である以上、割と完璧に滅びが約束されているのだが、それでもあがき続ける。その姿。

 Togetterの販促まとめを見て、ジャケ買い。2巻同時刊行という、変わった売り方。HJ文庫は完全にアンテナから外れていたから、そのあたりの経緯も含めて、印象に残る。
 書き割りみたいな学園教師生活から、異星型プリオンに汚染されて滅亡寸前の人類と、ガンガンと世界観が拓けていく感じが良い。ちょうど良いどんでん返し方。というか、主人公がハートを貫かれる(物理)がなんとも。