神坂一『スレイヤーズすぺしゃる6:打倒!勇者様』

 とりあえず、今回借り出したのは、これで最後。新しく借りなければ。
 冒頭に掲載されている「激闘!料理人」が印象に残っているな。双子の料理人が、料理の路線を巡って喧嘩。そこに、リナがやってきて、事情を知って料理対決で決着をつければと提案する。鉄をも断つピザってのが強烈過ぎるのだが。結局、和解して、リナが賭け金の返金を迫られるラストも良い。


 ラストの「愛しの根性なし」と、その後日譚、書き下ろしの「根性なき戦い」も印象深い。性格の悪い令嬢エレミーとその恋人、出奔した根性なしガードナーのお話。完全犯罪、無銭飲食未遂に万引き未遂に、拾得物の横領未遂って。物陰でこっそりナイフを握りしめて、荒い息をつきながら、通行人を眺めていたのが「殺人未遂」。確かに、完全犯罪ではあるがw
 書き下ろしの、業を煮やしたエレミーの父親が二人の仲を割こうとするも、婚約者も根性なしというのもなかなかひどいw 相手の父親の、どっちも根性なしなら、好きあっているほうが良いだろうという手紙が泣ける。


 魔道士協会から依頼された反乱鎮圧の依頼で、とある小国の攻城戦に参加したリナとナーガ。攻撃魔法に巻き込まれた意趣返しと手柄の取り合いで同士討ち。その間に、反乱軍を壊滅させてしまうという「ああ友情の攻防戦」。結局、お手柄の報酬を受け取り損ねるのが、らしい。
 表題作の「打倒!勇者様」は、「悪の魔法使い」と称して魔法使いを襲撃しまくる「勇者」ウォーレンの討伐依頼を受けた話。魔道士協会の怒りを感じる致命的罠の数々。そして、リナが、隙を突いて、黒幕の女魔道士を撃破する。このあたりの小技の多彩さも、リナの魅力だよなあ。