神坂一『スレイヤーズすぺしゃる19:るなてく・へすてばる』

 スレイヤーズすぺしゃる読みつぶし、12冊目。
 「魔王降臨(前後編)」、「愛は強し(前後編)」、「るなてく・へすてばる」と書き下ろしで同作品の登場人物を引き継いだ「うちのジョン知りませんか?」で構成。前後編構成になって、作者は楽になった感じだけど、作品の爆発力は低下した感じがするなあ。


 「魔王降臨」は、非常に美味とされるラテル芋を求めて、ニブス村を訪れたリナが、予言を妄信して、問題を起こした人間を「魔王」扱いする村長に、振り回される話。嫌われ者を魔王呼ばわりするアレさ加減が。そして、村長を成敗したあとの、目が覚めた村人の交渉力が笑う。
 地味に、予言がきっちり本編スレイヤーズの展開なのがまた。


 「愛は強し」は、バカップルにリナが敗北する話。愛は強い。つーか、まわり中に感染しまくっているのですが。あと、リナは、「縁切り業界」でビッグネームらしい。「赤い糸切りのリナ」って、どこで出てきたんだっけか。


 「るなてく・へすてばる」は、魔道士協会の支部の依頼で、テシーモの村の祭りへの参加の依頼を受けたリナ。お神輿に乗って、豊作の神様の像にキスをするだけの簡単なお仕事。しかし、その神像が、まごううことなき邪神の像。
 村人たちは、詐欺師に騙されていたのだった。しかし、その詐欺師は、なかなかの戦闘力で魔族と契約、呼び出すことができた。苦戦するリナとナーガ。しかし、その魔族は、ナーガが呼び出した魔王竜が生き別れになったペットで、再会できた事で去ってしまう。導入とオチがなかなか強烈な。
 しかし、魔族って、荒むと善行に励むのか…


 書き下ろしは、その魔族ラギアソーンとそのペットの魔王竜ジョンが再登場。めでたく再会できたラギアソーンとジョン。空間操作で小動物にしか見えなくなったジョンが、再び行方不明に。
 しかし、魔王竜のブレスは、ありとあらゆる生命を無に帰すヴォイド・ブレス。ぶっ放されたら大事だと、必死に探し回るリナとナーガ。つーか、魔族の空間操作すごいなあ…