水野良『グランクレスト戦記5:システィナの解放者[上]』

 だいたい、アニメの13話の内容だな。その分、アニメのほうは端折られまくっている、と。


 ヴィラールの敗死によって、幻想詩連合の東部諸国は独立勢力「アルトゥーク条約」に結集。ラシックは盟主に推されるが、テオに従属すると固辞。代替案として、テオがシスティナを独力で解放することで、盟主の資格を証明することに。そして、連合のルクレール伯の攻勢が成功し、ノルド軍を撤退させたことで、その時間ができる、と。
 アニメで行き当たりばったりだなと思ったが、実際に、行き当たりばったりだったのか。しかも、準備した装備は、大渦に飲み込まれて、ほとんど着の身着のままで上陸。魔境に隠れ潜みながら、分断統治で心が折れた住民たちを動かそうとする。で、万策尽きて、テオの故郷へ向かう。
 テオが故郷を出た経緯。そして、幼馴染を使ったロッシーニ家の罠。それにあえてかかったテオの真意を知り、立ち上がったマルザ村の人々の支援を得て、ロッシーニ家の三男を倒すことに成功する。
 しかし、この程度では、住民が立ち上がるうねりを起こせない。人々の心を動かすために、システィナを大陸から隔てている魔境、混沌渦を鎮めることに。で、以下、次巻と。
 せめて、100人くらいは手勢連れて行くべきだったのではなかろうか。そうなると、今度は補給が続かないのか。そうなると、一騎当千の戦力で攻勢された、現在のテオのパーティは最適解なのかな。


 末尾は外伝の、マリーネとアレクシスが、知り合い、愛し合うようになった経緯を描く。結局、両方とも、一目ぼれというか、運命的出会いというか。マリーネさん、強いなあ…