笹本祐一『ハイ・フロンティア/ブルー・プラネット:星のパイロット3』

 新装版の四冊目。旧版の5巻、6巻を一冊に収録。


 ハイ・フロンティアは、前の巻で手に入れたヴァルキリーのテスト飛行中、謎の戦闘機に攻撃されたところから始まる、見えない敵との戦い。人間の手を離れて暴走する、アルゴリズムヘッジファンドが敵か。実際のところ、現実の世界の株価も、さまざまなアルゴリズムに操られているのが、現状だよなあ。
 最終的に、大手企業合同作戦で、敵たる「ジャガーノート」のデータが巣食う通信衛星5基を、一気に撃破して、端末を叩くことに成功。「戦闘用機動ユニット」が楽しい。つーか、ロケット弾を宇宙機に積むのは、怖いなあ…


 後半は、最終巻ブルー・プラネット。
 極秘に打ち上げられた地球型惑星発見衛星からの、データをダウンロード。機密にしていた国防総省は、あちこちらで大騒ぎ。
 うーん、どうせ秘密にするなら、そもその探査そのものを実施しない、他勢力の探査努力を妨害するが最適行動なのではなかろうか。予算かけてやるからには、どこかで公開する必要に迫られるが。割と、米宇宙軍の行動が支離滅裂だと思う。


 地球型惑星の発見そのものは、地球の十倍クラスだけど、珍しくなくなったな。まあ、生命が住めそうな、安定した所にある惑星はまだまだだけど。赤色矮星のフレアに洗われるようなところ回ってる惑星を、「ハビタブル・ゾーン」とは言いたくない。
 人類の目標ねえ。数光年単位で移動するとしたら、一番問題の荷物は人間そのものだよなあ。自己複製機械の類を送り込むならともかく。人間の時間スケールで星の海を超えるのは、かなり無理そう。


 この作品では、「青い星」が出てくるが、先住生命が居そうな惑星は、植民には、条件が良くないのではなかろうか。向うの生態系をどう保存するかも問題だが、下手すると人類に有毒な生物がいそうだし。
 あと、長期的に液体の水を保持している星そのものが、割りとレアなんじゃないかなあという気も。地球でも、数十億年先には、水が地殻に吸収されてしまう可能性が指摘されているわけだし。