『航空ファン』2019/7号

航空ファン2019年7月号

航空ファン2019年7月号

 図書館で見かけて、特集が興味深かったので借りだし。

「New generation training」

 ピラタスPC-21とそれによるジェット機によるトレーニングの省略を可能にしたという記事。ターボプロップだが高速性能が高く、機上シミュレーションによる武器の訓練も可能にして、訓練の効率化を図っている。射爆場や訓練弾のコストも削減できる。中小国だと、こういう効率化大きそうだなあ。
 最初に導入したのはスイス軍。先進国だと、国内航空産業を考えないといけないから難しそうだw
 写真はヨルダン空軍の機体。かっこいい。

青木謙知「『史上最大の航空機』ストラトローンチ初飛行」

 ロケットの空中発射を行うストラトローンチ・システムズ社の軌道発射母機ストラトローンチが初飛行をしたという記事。スケール・コンポジッツらしい曲線の飛行機は、独特の魅力があるな。双胴の胴体は同じ形状のものを使っているが、片方はコクピットのスペースが空きスペースになっているそうな。
 主翼だけでつながっているけど、強度的にはどうなんだろう。

井上孝司「F-35欠陥機説の真偽を探る」

 うーん、結局、タイトルの結論が出ていないような気がするが。
 いろいろと不具合は出ているが、それは他の機種でも同様。欠陥の洗い出しと、改良は着実に進んでいるという話。まあ、ここまで投資した以上、米軍は何が何でも使えるようにするだろう。
 結局、個人的には「飛行機」としてどうなんだろうというところが気になる。アビオニクスの優位はいつか消えるけど、そのときに、兵器としてどうなるのだろうか。

「続報・737MAXに何が起きているのか!?」

 相次いで墜落事故を起こしたボーイング737MAXについての特集。記事2本。
 一本目の記事は青木謙知氏による、エチオピア航空機の中間報告の紹介。結局、世代交代に737の機体がついていけなくなっていたのは確かなようだ。燃費向上のために、大きく重いエンジンを搭載。これに伴う重心の変化などを自動で補うMCASを搭載して、ごまかす。しかし、センサーの不具合でMCASが不具合を起こしたときに、解除できないと、操縦士の操作と打ち消し合ってしまう。
 これ、ボーイングの経営にものすごいダメージ与えそうだなあ。米軍向けの給油機も、製造上の問題を引き起こしているし、大丈夫なのかねえ。
 二本目の相良静造氏の記事は、「類似事故」がキーワード。94年の名古屋空港での中華航空機事故との類似性を指摘。自動操縦装置とパイロットの操作がケンカするというのは、ほんとうに、四半世紀を経て、類似事故の再来だよなあ。逆に言えば、弥縫策で、今までの設計思想にないシステムを導入してしまった故の事故と。

石川潤一「F-15EX:米空軍、最新型イーグルを調達へ」

 米軍が新造のF-15を導入しようとしている話。既存機の飛行時間が限界に近づいているため、新規生産を行うことにした。しかし、ユニットコストがすごいなあ。F-35より高くつくのか。
 フライバイワイアによる新規の操縦システム、新型レーダーの搭載、兵装搭載能力の拡充あたりがメイン。ステルス性能は潔く諦めるらしい。フレームが共通なだけで、アビオニクスは全取っ替えって感じだな。お値段が高くなるわけだ。とはいえ、飛行機としての素性が良いからこその、長生きだよなあ。
 ステルス機はスクランブル任務なんかに使いにくいから、こういう飛行機の必要性は消えないんじゃなかろうか。