鳥羽徹『天才王子の赤字国家再生術4:そうだ、売国しよう』

 4巻目は、ウェインの妹フラーニャちゃんの覚醒回。初外遊と自治都市の議会見学の刺激で、一気に共感性とカリスマ性に目覚めるといったところか。
 ウェインも、一応、かなりのシスコンなのね。


 カバリヌ王暗殺に伴う戦争も終わり、マーデンを併呑。事後処理に追われるウェイン。そこに、帝国のロウェルミナ皇女から、ミールタースでの後継者会談のお誘い。しかし、手が離せないウェインは、妹フラーニャの要求に押される形で、送り出すことに。
 そこでは、帝国の三皇子ディメトリオ、バルドロッシュ、マンフレッドが三すくみでにらみ合っていた。それぞれ、独自の勢力を持ち、かつ、長兄ディメトリオの狭量さから、だれが皇帝になるかを決めきれなかった。その隙をついて、皇女ロウェルミナは、「憂国派閥」を形成。密かに自身が、初の女帝になるべく暗躍を始めていた。


 ディメトリオの狭量さから始まった、フラーニャへの求婚騒動は、三男マンフレッドが放った暗殺者の毒茶を、ディメトリオが飲んでしまったことから、急展開する。
 一命をとりとめたディメトリオの離脱、バルドロッシュ、マンフレッドが軍を動かしてミールタースの占拠をうかがう、そして、西側からはカルドメリアの指示による「レベティア教徒救出」の軍勢の出現。
 新たな三すくみの中、ウェインは、バルドロッシュとマンフレッドの軍を乱戦に追い込み、さらに、ミールタースの市民全員を脱出させレベティア教軍に押しつけて動きを封じた上で、武器や物資を購入し第四の軍を編成。すべての勢力の身動きを封じて、ディメトリオに責任を押しつけての和解。結局、ウェインの策謀に策謀によって、なんとか破局だけは防げた。


 そして、ミールタース市の危機の中で、フラーニャの秘められた才能が芽吹く。恐慌状態の市民達を落ち着かせ、ウェインの策謀による全員による脱出をきっちり扇動に成功する。
 彼女が次に活躍するのは、いつのことか。