熊本県立美術館のサイトを見ると、改めて、デザインの酷さにイライラするな。役所らしい、見やすさの欠片もないサイト。サイトの統合とか言い出したバカは誰だ、ほんと。
開館45周年記念ということで、県立美術館が持つコレクションから選りすぐった作品を展示。大型の屏風絵が並んでいて、眼福。後期は展示がかなり変わるみたいだから、コロナ変異株が流行らなかったら、見に行くかなあ。5月には、また休館とかになったりして…
浜田知明室は、下絵や原版も見せる太っ腹。
第一章、第二章
それぞれ「『物語」で魅せます」「『構図』で魅せます」ということで、近代日本画がメイン。菱田春草の「落葉」がやっぱり見事。絵物語である「池辺寺縁起絵巻」を除けば、物語の一場面を切り取った絵が並ぶ。
堅山南風の「霜月頃」は撮影禁止。色遣いが素敵な絵だが。
「池辺寺縁起絵巻」。有名だけど、現物を見たのは初めてかも。いや、一度くらい見たかなあ。
河鍋暁斎「牛若丸図」。もっとアップで撮ればよかったな。妖艶さのある絵。
山中神風「源氏入京図」。京都に入る木曾義仲と思われる武者とその従者、それを見物する人々。歴史画って、あんまり好きじゃないけど、この作品は割といいなあ。郡衆の喧噪みたいな感じが。
高橋廣湖「裂封冊」。秀吉激おこ。明からの国書を破ったところ。破った国書に、脱ぎ捨てた礼服、後ろの小姓の表情といい、秀吉の怒りを強調するように描かれている、と解説に書いてあった。
菱田春草「落葉」。こういうでかい作品は片隻ずつ撮ればいいのか。秋の疎林を描いた、一見して引きつけられる作品。いや、いいわあ。
高橋廣湖「貴賤苦楽」。公家の行列を眺める庶民。前景の陋屋が印象深い。あとは、弓を携えた衛士とか、左側の床几を抱えたおっちゃんとか。
山中神風「説話図」。説話の絵と言いながら、どの説話か説明がないらしい。なんか、不思議な雰囲気の絵。
第三章「『いろ』で魅せます」
カラフルな作品を並べる。江戸時代の熊本関係画家の絵画と近代の熊本関係工芸家がメイン。工芸関係はほとんどが、著作権の関係か撮影不可。増村益城、高野松山、音丸耕堂の漆芸品が並ぶ。音丸耕堂の「彫漆矢車草文香合」が、こんな表現ありなんだみたいな感じで驚く。色漆を積層して、磨きだした作品。いいわあ。
杉谷行直「四季花鳥図押絵貼屏風」。四季の風景を描いた花鳥画。特にリスと葡萄を描いた図が良い。あと、隣の秋の図、解説に「セキレイか?」と書いてあるけど、二羽ともモズじゃね。
福田太華「孔雀図」。カラーとモノクロ二種類。カラーのもいいけど、モノクロのも、なかなかの迫力。色がないのに、めちゃくちゃ派手感がある。
狩野探信「群鶴図屏風」。狩野派の絵師による鶴図。金箔に直接描いた鶴が、下地が透けていていいなあ。
「巴螺鈿鞍」。鎌倉時代から伝わる鞍。これは、細川家とは関係なく、県立美術館に寄贈された物だそうで。巴型に貝を切り抜くのが難しい貴重品だけど、こうしてみると、けっこうガッツリ乗った感じの漆の剥離が印象深い。
第四章「かたち」で見せます
戦後、熊本で活躍した、あるいは熊本出身の画家の抽象画作品を展示。坂本善三、牛島憲之、明石巌、千賀友子、江田豊、マナブ間部の作品が並ぶ。抽象画は分かったような分からないような。微妙に実物感のある明石巌「イーゼル」が好きかな。あとは、江田豊「二枚舌」の色遣いとか。
第五章は「あなたの『魅どころ』」ということで、20世紀前半のパリの画家の作品を並べて、観覧者にどこが素敵かを描かせる企画。コレクション展の度に出品されているが、そういう逆問いかけは予想していなかったな。ヴラマンクの「湖畔」とか、嵐の風景にしか見えないけど、人によっては別の見方をするんだな。
別棟展示室「国宝『古今伝授の太刀』で魅せます!」
永青文庫展示室では、「古今伝授の太刀」こと、「銘豊後国行平作」の太刀を中心に、細川幽斎の古今伝授に関するエピソードと肥後関係の刀が展示。勅使の礼として烏丸光広に贈られた太刀が、その後烏丸家に相伝。近代に入り中山家に渡り、その後売却されて細川家が買い戻したもの。国宝か。
全部皮で包んだ拵が興味深い。耐久力が増すからと、鍔まで全部包んでいるのか。これはこれで、カビがついたりしないように維持するのが大変そう。
あとは、出水神社の刀や熊本県立美術館が持つ赤羽刀など。日本刀の「美」というがいまいち分からないのだが、同田貫は、武器感があっていいなあ。
肥後鐔もいくつか展示。撮影可能だったのは林又七「桜九曜紋透鐔」。いや、これ透彫りがすごいなあ。それに金象嵌似合っていて。
関連
なんか、いろいろとリンク。こうしてみると、ガッツリ熊本関係の美術品を収集しているのだな、と。
artscape.jp
ja.wikipedia.org
ja.wikipedia.org
yuagariart.com
ja.wikipedia.org
ja.wikipedia.org