おがきちか『Landreaall 1-36』

 数年ぶりに全巻合流第四弾。前回は2018年かあ。6月に新刊が出るので予習もかねて。一気読みしたあげく、もう一周してしまった。


 10巻あたりまでが前座って感じなのがすごいなあ。おもしろくなくはないけど、その後の話の盛り上がり方がすごい。父親の世代、火竜を封じたフースルー、マリオンを救うべく立ち上がる主人公DX。振られて、首都の学校に転入。すったもんだ、トラブルもありながら打ち解けるまで。


 面白くなるのは、やはりアカデミー騎士団編とウルファネア編からかな。DXはウルファネアの後継問題に巻き込まれたルームメイト竜胆を助けに赴く。一方、留守の王都では危険種モンスターが突然現れ、アカデミーの女子寮を粘液の壁で取り囲んでしまう。居合わせたDXの妹イオンやDXの同級生たちは王位継承権者TTを中心に騎士見習いたちが結束し、難局に挑むことになる。ここいらあたりから群像劇と同時に、国が視野に入ってきて、話に筋ができる。
 15巻から30巻までは、一貫してアトルニア王位継承問題。先代の王の狂気とそれを追うための「革命」。そして、20年ぶりに新たな王が選ばれることになった。しかし、先代王の遺産、「革命の真実」をめぐってDXは渦の中心に運ばれていく。同時に、DXは新王の婚約者に恋をして、相思相愛になりつつも。
 それぞれの巻を読んでる時は意識しなかったけど、ずっと先代王が残した負の遺産との対決だったんだな。王女リルリアーナへの異常な執着が起こした戦争。それに家を滅ぼされたクエンティンが国ごと滅ぼすべく撒いた種。そして、ロビンの親探しが、後継者がいないからこそ選ばれた新王の隠し孫という爆弾に踏み込んでしまう。
 そして、最後にリルリアーナ王女の娘ユージェニ王女の出現とDXの父ルッカフォート将軍を「革命」の象徴として亡き者にしようとする玉階クエンティンの構想がついに露わになる。DXは密かに砂漠の国クレッサールに赴きクエンティンと直接対決することになる。
 30巻にして、クエンティンの陰謀を覆し、新王が即位して、一部完といった感じかな。


 もろもろの後始末のあと、32巻からは王城地下の迷宮探索編。これが、全体の中でどういう意味を持つエピソードになるかも気になるところ。
 アトルニアの王城の地下には大迷宮があり、定期的に掃討を行って安全を確保している。しかし、DXが参加したこの年は、同時に行われた危険種モンスター討伐が引き起こした地脈の乱れから大混乱に陥る。それぞれ転移門によって結ばれていた迷宮のルートがめちゃくちゃになり、DXたち一行は真相に落とされてしまう。
 ここ五巻ほどはダンジョンアタックメイン。順調に上に上がってきた一行だけど、迷宮に逃げ込んだギガントアントが増えまくっていて、一筋縄でいかない状況に。25層では女王蟻が出現して、しかも救援隊のイオンがそこに居て。これ、続きどうなるんだろう。相変わらず引きが凶悪な作品だよなあ。