片瀬茶柴『虚構推理 15』

 一巻通じて、「岩永琴子の逆襲と敗北」編。
 なにやら、いろいろと面倒くさいことになってるなあ。いまいち、まとめきれない。キリンの霊の問題。昔日本に連れてこられ、はやくに死んでしまった荒ぶるキリンの霊。祠が放置されて、暴れて周囲の妖怪たちの脅威になっていた。それが殺人の快楽を覚えてしまった。
 そして、もう一つの軸がキリンを日本に連れてきた動物園長のひ孫大和田柊と彼女にひかれ、自分も祟られていると考える4人の男達。柊は自動車に轢かれ亡くなったが、その後も不幸が続き、自分たちも祟られていると思い込み、4人で集まって山に入る。それぞれ、他の人間に対する殺意を秘めながら。
 1人助かった丘町も、最初に六花さんを殺そうとするとか、なにか謎めいた動きをしているし、どういうことなんだろう。


 キリンの存在がクローズアップされて人口に膾炙すると、ますます力と凶暴さを強めかねない。鋼人七瀬と同じ構図か。
 そして、六花さんは、事件の過程で琴子が「知恵の神」としての信頼を妖怪達から失うようなことを狙っていると、琴子は推理しているが。本当のところ、なにを企んでいるのか。もう、仕込みは終わってるんだよな。


 六花さんが琴子を殺害できない理由というのが印象深い。六花さん自身は、九郎が報復に来ることを恐れて手出しを控えていた。一方、琴子は、知恵の神を殺害すれば「次の知恵の神」が秩序を乱すも落として排除に動くと六花が理解していると思っていた。こういう考えのすれ違いがどう作用するのだろうか。
 というか、九郎さんも大概ツンデレだよな。





 ジト目w