毎年開かれる夏休みの子供向け企画。キャプションが子供向きになってる。
今年のテーマは鳥。以前にも、鳥のテーマはあったような気がするが、サイトの過去の展示のページには載ってないな。花鳥画がメインだけど、螺鈿が施された日用品や鳥籠も出品されているのが興味深い。鳥を飼う趣味は江戸時代にはけっこう盛んだったそうだけど、それに関する物、意外と残ってないのかな。細川重賢とか、普通に飼育していそうだけど。
全体は四章構成で、24点ほどが展示。
第1章 身近な鳥たち
第一章は、「身近な鳥たち」ということで、なんかウズラが目立つ。
鳴き声が「御吉兆」と聞こえるので珍重されたウズラは、戦場に持ち込まれ、近世には鳴き声を競う「鶉合わせ」が盛んに行われ、蒔絵細工を施した籠が使われた。この展示会にも、細川忠興所用と伝えられる鶉籠が出展。鶉図が二点と、鶉が割とメジャーな存在だったことを示す。
続いては「群鳥図」。かなり大きな掛け軸に、山ほど鳥を描き込んだ図。これは数えるのが大変そうな…
そして、最後に博物図譜系の絵。「游禽図」は鳥部門の図譜。細川重賢あたりがいろいろ作らせていそうだなあ。そして、四点セットで展示されている「鳥類写生図」が圧巻。デカい図が並ぶのが楽しい。あと、鳥の大きさのデータが細かく書き込んであるのが印象深い。タンチョウヅル、ソデグロヅル、コウノトリ、アオサギ。これは松井家のものらしい。
第2章 華やかな花と美しい鳥たち
第二章は「華やかな花と美しい鳥たち」ということで、近代花鳥画の世界。杉谷雪樵の作品が三点に、近藤樵仙の作品が一点。明治中期から大正くらいの時期に描かれた作品。新しい時代の作品だけに、色鮮やかで華やかな作品が並ぶ。
大きな屏風絵である「四季花鳥図」が圧巻。何度から出展されているけど、何度見てもいいなあ。
最後のヒヨドリ、絶対ぎゃーぎゃーうるさい奴だろw
他の三点は掛け軸。No12の「花鳥図」は鳥はハッカン、花はシュウカイドウと菊。No13の同じく「花鳥図」はコキサカオウムとサンジャク、ハクモクレンとボタン。色鮮やかな作品。No14、近藤樵仙の「花鳥図」は同じくサンジャク。
第3章 神秘的な鳥たち:鳳凰・孔雀
第三章は吉祥的な図案ということで、鳳凰と孔雀がメイン。
鳳凰は言うまでもなくおめでたい想像上の生物だが、クジャクも辟邪、子孫繁栄の意味があるらしい。日本に生息していない生物なのに、良く描かれているなと思ったら、そういう意味があったのね。
あと、孔雀図って、羽を細かく書き込むことに心血を注ぎまくってる感がすごい。
展示番号16番、福田太華「鳳凰図」、日の出に鳳凰に竹とおめでたいモチーフがてんこ盛りで、一見しておめでたい。ついでに金ぴか。
18番の、杉谷雪樵「孔雀図」は写真撮影可。鮮やかで、尾羽のディテールが素晴らしい。
19番の福田太華「孔雀図」は、クジャクをメインに、オオルリ、ソウシチョウ、ベニヒワ、ブンチョウといった鳥がいっぱいで賑やかな一作。
21番の「孔雀螺鈿細長方形箱」は繊細な細工と同時に、19-20世紀のベトナム製という来歴が興味深い。あまりイメージがないけど、高度な細工を施せる職人がいたってことだよなあ。筆の柄に巻かれている商標が完全に近代って感じなのがおもしろい。
第4章 ゆるかわいい鳥たち
最後は、ゆるかわいいというか、徳川将軍が描いた鳥の絵を展示するパート。前期は、対比として伊藤若冲の「鶏図」に、徳川家綱の作品が三点。それぞれ、永青文庫と松井文庫所蔵の「鶏図」と「雉子図」が展示。後期は「雉子図」に代わり、家光の「葦に翡翠図」が出展されるようだ。
今回は家綱さんの作品だけだけど、なんだろう、この見ていて不安になる感じは。特にニワトリ図やべーな。
なんだろう、画面の中途半端に寄ったところに、なんかちまっとしたニワトリがポツンと一羽。しかも、なんか目が怖いという。ぎょろっとした白目に、黒目が点というのは、鳥の目玉じゃないよなあ。
なんか、将軍の孤独感を表しているような感じ。
「雉子図」はもう少しまともな感じだけど、それでもなんだろう、居心地の悪いというか、据わりが悪いというか…