熊本県立美術館別棟展示室「細川コレクションⅢ:金石之交:微笑みのみほとけと細川コレクション」

 別棟の細川コレクション展示室の今期の展示は、近代に入ってから収集された中国とインドの石仏、銅仏と、それらの収集に関わった東洋学者たちとのつながりについて。
 だいたい6-8世紀くらいの仏像が展示されている。個人的にはインドの仏像が好みかなあ。「石造弥勒菩薩坐像」がいい。
 展示目録を見ると、比較的強固な材料のためか、仏像は全部通期展示のようだ。


 第一部は、「仏像の素材 金属、石、そして木」ということで、県立美術館所蔵の仏像を3点展示。インドの石造仏、寄託された銅造誕生仏立像、菱形八幡宮の木造神像を展示。


 第二部は「中国石仏の蒐集と早崎粳吉」は、中国の石仏とそれを蒐集した早崎粳吉の紹介。6-8世紀あたりの仏像が破壊や略奪にさらされずに残っていたんだなあ。そして、それをほいほい買えた、と。本来は、現地にあったほうが好ましいと思うけど。
 個人的には、重要文化財の「石造菩薩半跏像」より、その隣にあった仏像のほうが好みだったけど、展示番号をメモってこなかったせいで、分からない。どれも似たような名前になってしまうし…


 第三部は「細川護立と東洋学のスペシャリストたち」ということで、熊本出身の東洋学者を中心に、ネットワークができていて、それを中核に蒐集を行っていて、ヨーロッパの東洋学者の蔵書を購入したりしているという。
 内藤湖南の自筆原稿が表装されているのが興味深い。


 ラストはインドの仏像が6点。コレクターによって日本に持ち込まれたものを、後で購入したというのが文献史料を元に紹介されている。


 撮影可能な仏像は二点。どちらも重要文化財
 「石造菩薩半跏像」。国指定重要文化財北魏の6世紀ごろに作られた作品で、西安周辺に祀られていたものらしい。「微笑みのみほとけ」という異名があるそうな。




 「銅造如来坐像」。こちらも国指定重要文化財。向背の銘文から南北朝時代の宋時代の437年に作成されたことが分かる仏像。日本の板碑みたいに一族の死後を祈ったもののようだ。
 清代の政治家のコレクションだったというのが興味深い。普通に流通していたのね。