福留しゅん『残り一日で破滅フラグ全部へし折ります:ざまぁRTA記録24Hr. 2』

 うーん、1巻は「悪役令嬢」の持つ権力を使って、一気に叩き潰す。かつ、物語の構造的にも王太子と悪役令嬢は敵対関係にあるから無理がないけど、2巻は「逆ハーヒロイン」が主人公で、ちょっと物語構造的に無理があるような。王太子あたりは、主人公に持ち上げられたあげく、叩き落とされたわけで、物語のカタルシスに欠ける感が。1巻と同じ事をしてもしょうがないということなんだろうけど。


 今回の主人公は逆ハーヒロインたるアンヘラ。卒業パーティの前日に、前世と自分の立場を思い出し、自分の立場の危うさに思い至る。一方、反対側のサイドにも転生者がいて、コマを動かそうとしていて。
 どうしても、弱者の戦術で、説得ベースになるのが歯がゆいところではあるなあ。結局、騎士団長の息子、宰相の息子、商会の息子は、婚約者ないし近しい女性の逆襲で、そちらに流れることに。転生者によるアドバイスで、今までの脈無し状態をひっくり返させる。一方的に叩き潰す代わりに、ヒロインと婚約者たちの和解と成長か。
 一方で。恋に溺れてしまった王太子とコンプレックスをこじらせた公爵子息は、断罪に突っ走ってざまぁ返しを喰らうはめになる。明暗が分れる。
 というか、なんか王太子カルロスがかわいそうだなあ。地位を捨ててアンヘラを選んでも、前世の知識が混じったアンヘラとは情熱的とはいかないだろうし…


 従者のエドガーは、実際には、1巻でアルフォンソとルシアがざまぁされたために、立場が変わってしまった、本来なら「攻略対象」レオン。立場が変わって、幼馴染みカップル的な関係性に変わったとは言え、結局「攻略対象」とくっついているのが因果なもんだな。


 あと、女王様が強い。どっちも使えそうだから、アンヘラとコンスタンサを争わせて、生き残った方を取り立てる。あるいは、正妃と側妃にしてもよかった。でも、王太子が盛大に自爆したから、全部ご破算という非情なやり方が。
 そして、贈り物は使わず、サービス類は補填していたアンヘラの保身のうまさ。ここいらがせこくて、悪女感強いなあ。
 しかし、2の攻略対象、性格に難ありのキャラ多いなあ。強さ至上主義の騎士団長の息子に、頭良すぎて周りはバカばっかりと思ってる宰相子息とか。ヒロインとくっついても、尻拭いが大変そう。そして、廃太子となったメインヒーロー、アンヘラのことが忘れられず、その後も時々アンヘラの名をつぶやいているって、なんか切ない…